★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

さかなは さかな  *レオ=レオニ

 

他人が自分と違うものを持っていると羨ましかったり、憧れたりするけれど、

 

みんな自分以外のものにはなれないし、身の丈にあった暮らし方があり、

 

ありのままの姿で生きることが、一番の幸せなんだよと、

 

人生も何度もその遠まわりをしながら、最後はきちんと自分のあるべき姿に

 

戻って来ることを分かりやすく絵本で描ている作品です。

 

水の中の世界しか知らないさかなが、おたまじゃくしだったかえるが、

 

大人になって水の外の世界や暮らしを知り、その世界の話を聞かせてくれ、

 

まだ見ぬ世界を想像し憧れます。

 

そしてある日、思いっきり尾ひれで水面を叩き、陸にジャンプしたさかな。

 

水の中ではあれだけ自由だったさかなくんが、水の外に出た途端、

 

呼吸ができなくなり、身動きできずに、不自由な体に。

 

陸でちょうちょを追いかけていたかえるくんが、さかなくんに気が付き、

 

すぐに池へ戻してやりました。

 

すると、エラから冷たい水と空気を吸い、スイスイと身体が動くようになりました。

 

さかなくんは、さかなはさかなだなと改めて感じたのです。

 

今まで当たり前で、退屈だった世界に、

 

果てしない自由と、そこで生きる幸福を感じることができました。

 

ないものねだり、周りがまぶしく思えることもあるけれど、

 

自分に与えられた場所で生きることが、いちばんの幸せであることを、

 

大人も子どもにも、シンプルに投げかける一冊です(*^-^*)

 

私たちは生まれたときから、

 

すでに全てを手に入れている完全な存在なのだと気づかされます。

 

《著者紹介》

作:レオ=レオニ

1910年オランダのアムステルダム生まれ、イラストレーター、グラフィックデザイナー、および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。作品には

”Little Blue and Little Yellow"、カルデコット賞次点で当社邦訳発行の「ひとあし ひとあし」(Inch by Inch)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」。「せかいいち おおきな うち」(児童図書スプリングフェスティバル賞およびBIB金のリンゴ賞)「さかなは さかな」や、1964年最優秀作品としてアメリカ図書館協会の指定をうけた”Tico and the Golden Wings"など。

 

訳:谷川俊太郎

1931年東京生まれ。詩人として活躍、また絵本や記録映画の脚本も書く。1952年に第1詩集「二十億光年の孤独」を刊行、近作には、エッセイ集「んまであるく」詩集「はだか」、「女に」などがある。

※絵本より引用

【作:レオ=レオニ 訳:谷川俊太郎 出版社:好学社】

 

 


さかなはさかな―かえるのまねしたさかなのはなし

しっぽのはたらき

 

人間にも妊娠2か月までは尾骨というしっぽがあるそうです。

 

それが成長とともに進化をたどって子どもの形になっていくよう。

 

生まれたときには、もうそのしっぽの姿は見当たりません。

 

この絵本は動物のしっぽのそれぞれの働きを紹介してくれるユニークな絵本です。

 

しっぽは飾りのような、付属のような気がしていましたが、

 

ちゃんと大切な役割をそれぞれに担っているようです。

 

くもざるのしっぽは、果物をもぎとったり、枝から枝へ移動したり、

 

もうひとつの手のような役割を果たしています。

 

にほんざるのしっぽは、とても短い。その短いしっぽをピンと立てている時は、群れの中で

 

自分が一番強いんだぞというしるしで、弱いサルはみんなしっぽを下げています。

 

身近なイヌやネコはしっぽで感情を表現し伝えます。

 

犬は怖いときには、しっぽをうしろあしの間に隠したり、

 

うれしいときには、しっぽを左右にいそがしく振っています。

 

カンガルーのしっぽは、第3の足のように、地面から体を支えバランスを保っています。

 

きつねの太いしっぽは獲物を捕らえる時などに、走る方向を急に変える際に、

 

しっぽは舵取りの役目をします。

 

がらがらへびのしっぽは、しっぽをふってじじじじと音を鳴らし相手に伝えます。

 

その音を聞いて他の動物は身の危険を察知し逃げるのです。

 

とかげは自分のしっぽを切って、逃げて命を守ります。

 

それぞれの動物のしっぽにはそれぞれの役割があって、

 

いずれも生きていくための大切な体の一部。

 

しっぽにフォーカスして見えてくる世界は、人間にはないだけに、

 

興味深く、楽しみながら、新しい発見の連続です(*^^)v

 

《著者紹介》

文:川田 健(かわたけん)

1937年、宮崎市生まれ。宮崎大学卒業。東京動物園協会勤務の後、1969年渡米。

トベカ動物園飼育係をかわきりに、全米各地の動物園をまわり、現在デトロイト市ベル島動物園勤務。著書に「アメリカの動物園で暮らしています」(どうぶつ社)、「日本人のしっぽ」(近代文芸社)など。

 

絵:薮内正幸(やぶうちまさゆき)

1940年、大阪生まれ。年少の頃から動物に親しみ、動物のイラストレーターとして図鑑、百科事典、絵本、童話などを幅広く手がけた。2000年、没。主な仕事に「冒険者たち」(岩波書店)、「野や山にすむ動物たち」「海にすむ動物たち」(岩崎書店)、「野鳥の図鑑」「どうぶつのおやこ」(福音館書店)がある。

 

監修:今泉吉典(いまいずみよしのり)

1914年、仙台市生まれ。国立科学博物館動物研究部長を経て、日本哺乳動物学会会長、動物保護審議会会長を歴任。理学博士。著書には「こども動物大百科」(平凡社)、「森からでてきた人類の祖先」(教育社)など多数ある。

※絵本より引用

【文:川田健 絵:薮内正幸 監修:今泉吉典 出版社:福音館書店

 

 


しっぽのはたらき (かがくのとも絵本)

 

かあさんをまつふゆ

 

2005年にコールデコット賞オナー賞を受賞した作品です。

 

時代背景は第二次世界大戦か、戦時中のお話。

 

アフリカ系アメリカ人の男性たちは、皆兵隊として出征していて、

 

エイダ・ルースの母は、出稼ぎにシカゴへ一人旅立とうとしている。

 

母が旅行鞄によそ行きのワンピースなどを詰め荷造りする中、

 

少女は涙が出そうになるのを必死でこらえる。

 

母は雨よりも、雪よりもあなたのことが大好きよと、今まで何100回とやりとりし、

 

大好きな背中を送る。

 

祖母と二人だけで迎える冬がやってきた。

 

小さな野良猫がやってきて、うちには猫を飼う余裕などないけれど、

 

祖母はミルクを猫に差し出した。

 

母へ何度も手紙を書くも、返事はいくら待っても来ない。

 

お金も送られてこない。猫のふわふわとした毛並みと、あたたかさで、

 

母のぬくもりを思い出し、また涙がこみあげてくる。

 

こぼれてしまわないように、瞬きしながら。

 

寒い冬の日、祖母と外に出て、ウサギを仕留めに行く。

 

もし仕留められれば今夜のシチューのお肉になる。

 

エイダ・ルースは捕まって欲しいとも思うし、捕まらないで欲しいとも思う。

 

何日も何日も母の帰りを待ち、そんなある日一通の手紙が届く。

 

お母さんからの。ストーブの前でシチューがふつふつと美味しい音を立て、

 

猫は暖炉の前で大人しくしている。

 

エイダ・ルース祖母とその手紙を何度も繰り返し読む。

 

母がもうすぐ帰って来る。

 

すべての構図が正面から描かれておらず、斜めからや上からのアングルや、横からの

 

アングルになっている。

 

その構図がそっと二人の寂しさを覗いているようで、よけいにリアルで、

 

心もとない。

 

届きそうで届かない、通えそうで通えない心のように。

 

冷たい冬、心も凍り付きそうな不安、さみしさ、そして猫や、シチューの

 

温もりが対比となって、どうしようもない切なさが胸をしめつける絵本です。

 

小学生から大人に向けた絵本です(*^-^*)

 

《著者紹介》

文:ジャクリーン・ウッドソン

1963年、アメリカ、オハイオ州に生まれる。児童文学作家。2001年、『ミラクルズボーイズ』(理論社)でコレッタ・スコット・キング賞を受賞。おもな作品に、『レーナ』(理論社)、『あなたはそっとやってくる』(あすなろ書房)がある。現在、ブルックリン在住。

 

絵:E.B.ルイス

1956年、あまりか、ペンシルヴァニア州に生まれる。幼少期に芸術家である二人のおじから影響を受け、画家を志す。深みと美しさを兼ねそなえた写実的な画風で、数々の賞を受賞しており、これまでに手がけた児童書は30を超える。

 

訳:さくまゆみこ

東京都に生まれる。編集者、翻訳家。著書に『イギリス7つのファンタジーをめぐる旅』(メディアファクトリー)など、訳書に『ローザ』『リンカーンとダダラス』(光村教育図書)、『シャーロットのおくりもの』(あすなろ書房)、『オオカミ族の少年』(評論社)など多数。

※絵本より引用

【文:ジャクリーン・ウッドソン 絵:E.B.ルイス 訳:さくまゆみこ 

 出版社:光村教育図書】

 

 


かあさんをまつふゆ

 

 

 

ゆきのひのおくりもの

 

中国民話がもとになったお話。

 

こうさぎがお腹をすかせ、雪の中で食べ物を探しているとにんじんを2本見つけました。

 

1本食べたら、お腹いっぱいに。

 

あと1本はこの雪の中きっと食べるのに困っているだろうと、

 

友達のこうまくんに届けることにしました。

 

こうまくんは出かけているようだったので、

 

そっとテーブルの上ににんじんを一本置いて帰りました。

 

こうまくんは、外にある足跡を見て、こうさぎさんからだとすぐにわかりました。

 

こうまくんも、ちょうど食事を食べたところだったので、

 

このにんじんを、ひつじさんに届けることにしましたが、

 

ひつじさんも外出中だったので、そっとひつじさんのおうちににんじんを置いてきました。

 

外から帰ってきたひつじさんも、ちょうど食事を済ませたところだったので、

 

これをこじかさんへ届けることに。

 

そして巡り巡って、最後には、こうさぎさんのところへにんじんが戻って来るというお話です。

 

にんじん1本が友達から友達へと渡り、最後こうさぎさんのところに戻ってきた

 

にんじんは、たくさんの友達の優しさと思いやりが詰まった贈り物になっていました。

 

幼いころに祖母に、

 

『人を大切にしなさい。人に親切にしなさい。人を大切にするってことは自分を大切にするってことだから。』

 

と言われてきましたが、こちらの物語を読んで、祖母の教えを思い出しました。

 

寒い冬に心温まるハートフルなお話です(*^-^*)

 

《著者紹介》

文:ポール・フランソワ

1898年フランス生まれ。教育者ポール・フォシェのペンネーム。ロシアの絵本運動に影響を受け、1931年、「ペール・カストール」シリーズを創刊。子どもが楽しんで自発的に学べる絵本作りを実践。また、絵本の実験学校ともいえる場所を作り、子どもや絵本作家に開放。童画を超えた多ジャンルの画家の発掘・育成につとめた。1967年没。

 

絵:ゲルダ・ミューラー

1926年オランダ生まれ。アステルダムのデザイン学校卒業後、ロジャンコフスキーに憧れ、パリに移住。フォシェの絵本実験学校で学び、「ペール・カストール」シリーズでも多くの作品の絵を担当。20代から現在に至るまで、精力的に絵を描きつづけている。

『庭をつくろう!』(あすなろ書房)など作品多数。

 

訳:ふしみみさを

1970年埼玉県生まれ。上智大学仏文科卒。洋書絵本卸会社、ラジオ番組制作会社、餃子店経営を経て、海外の絵本や児童書の翻訳、紹介につとめている。おもな訳書に『うんちっち』(あすなろ書房)、『どうぶつにふくをきせてはいけません』(朔北社)、

「こねこのプーフー」シリーズ(小学館)、『なりたいものだらけ』(鈴木出版)など多数。

※絵本より引用

【文:ポール・フランソワ 絵:ゲルダ・ミューラー 訳:ふしみみさを

 出版社:すずき出版】

 

 


ゆきのひのおくりもの

 

 

 

おおかみと7ひきのこやぎ

 

グリム童話は怖いお話が多く、おどろおどろしいので、

 

名作が多いものの、なかなか子どもと読むのに躊躇してしまうところがありますが、

 

いもとようこさんの描くでグリムの世界は、

 

ちゃんと物語(フィクション)として小さな子どもも楽しめるところが素晴らしいです。

 

こやぎのお母さんが出かけ、7ひきのこやぎはおうちでお留守番することに。

 

お母さんにオオカミが来ても絶対に扉を開けないように子ども達に言います。

 

オオカミはガラガラ声で、手が黒いからねとオオカミの特徴を伝えました。

 

しばらくすると、ドアをトントンと叩く音がします。

 

おきゃくさん?でももしかしたらオオカミかもしれないので、

 

すぐに扉は開けちゃだめだと子どもたちは身を寄せ合い警戒します。

 

だれ?と聞くと、お母さんよと答えますが、その声はガラガラ声。

 

きっとオオカミです。

 

すると今度はオオカミは声色を変え訪れました。

 

声は美しくなったけど、手を確認しなくちゃと子ヤギたちは、

 

しっかりお母さんに言われたことを守ります。

 

手を見せて!と言うと、窓から黒い手が見えました。

 

オオカミだ!お母さんの手は白いものと伝えました。

 

しばらくするとまた扉を叩く音と、白い手が見えました。

 

今度こそお母さんだ!と扉を開けると、手だけを白いおしろいでぬったオオカミが現れ、

 

7匹の子ヤギたちに次々と襲いかかり、丸のみしていきます。

 

お母さんがおでかけから帰ってくると、家の中は荒れはて、

 

かわいい子どもたいが一匹残らず姿を消していました。

 

お母さんの前に末っ子の子ヤギが時計台の中から一匹出て来ました。

 

みんなオオカミに食べられちゃったと泣きます。

 

お母さんはオオカミを探しにいくと、野原で気持ちよさそうに昼寝をしているオオカミの

 

お腹をハサミで切ると、こやぎの兄弟を助け出し、石をたくさん詰めて、

 

お腹を縫いました。昼寝から起きたオオカミは水を飲みに井戸に向かい、

 

お腹の重さにバランスを崩し井戸の中へ。

 

赤ずきんちゃんといい、オオカミはいつも悪役ですね。

 

オオカミもお腹をハサミで切られても、起きない、気づかないのが不思議。

 

いもとようこさんの絵は終始可愛らしいですが、

 

オオカミが遅いかかるシーンは迫力があり、怖いシーンとしてしっかりと描かれています。

 

グリムのちょっと怖い世界が、可愛らしい物語の世界として楽しめる絵本です。

 

《著者紹介》

原作:グリム

ドイツの言語学者であるヤーコブ(Jacob)ヴィルヘルム(Wilhlm)の兄弟。

古代の言語研究の一環として集めた伝承昔話に、主に弟・ヴィルヘルムが加筆し、

子どもの読物として多くの作品を残した。代表作に『ヘンゼルとグレーテル

赤ずきん』『いばら姫』『白雪姫』『灰かぶり(シンデレラ)』などがある。

 

文絵:いもとようこ

兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油絵科卒業。『ねこのえほん』『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童書展エルバ賞を2年連続受賞。『いもとようこ うたの絵本1』で同グラフィック賞受賞。

作品に『おおきな おおきな木』『くまのこうちょうせんせい』『あいうえおのえほん』『くまのこうちょうせんせい』『あいうえおのほん』『ABCのえほん』『もしもしおかあさん』、『こねこちゃんえほん』シリーズ、『ないた赤おに』『ごんぎつね』など日本の名作を収録した「大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本」シリーズ(すべて金の星社)など多数。

※絵本より引用

【原作:グリム 文・絵:いもとようこ 出版社:金の星社

 

 


おおかみと7ひきのこやぎ (いもとようこ世界の名作絵本)

だんボールでつくろう *よしだきみまろ

 

段ボールは紙素材で出来ており、軽くて、丈夫で、

 

近年では箱としての機能に加え、あらゆる場面で活用されるようになりました。

 

例えば避難所では、簡易ベッドになりました。ベッドにすることで床からの距離が出来、

 

衛生面でも、防寒としても、またお年寄りなど床から起き上がるのがツライ方でも、

 

快適に過ごすことができたり、

 

ちょっとしたパーテーションのような、個人のスペースが確保できるようになりました。

 

また、子どもたちが遊べるおうち遊具に変身したりと、その活用術はアイデアひとつで、

 

無限に広がりました(*^^)v

 

段ボールは間に空気を含むので、保温性にも優れています。

 

重ねれば強度も増し、大人も体重100㎏までなら支えられるほどです。

 

とても軽いので、子ども達でも工作の際にも扱いやすい利点も(*^^)v

 

今回の絵本は段ボールで作って、思いっきり遊ぼうという絵本です。

 

段ボール箱を上へ積み重ねて、新聞紙のボールを作れば、

 

当たっていも痛くない玉入れの完成。

 

段ボールのでお家をつくれば、もうそこは子どもが大好きなひみつ基地。

 

いくつも段ボールを持ってきて、紐で繋げば、機関車に。

 

段ボールでロボットになったり、怪獣になったり、パタパタアニメを作ったり、

 

くねくねヘビのおもちゃを作ったり、あやつり人形も簡単に作ることができます。

 

段ボールをぐるぐる太巻きにすれば、おでかけいすの完成。

 

お家にあるストローや、はさみ、ガムテープや、カッターナイフなどの

 

文房具であらゆるものに変身できる段ボール。

 

何も手をかけなくても、外で草滑りをするときにはソリにもなり、

 

子どもの遊びごころをくすぐる相棒です!

 

作り方や遊び方が丁寧に分かりやすく描かれている絵本です☆

 

子どもの工作、やってみようという好奇心を引き出してくれる一冊です(*^-^*)

 

家庭にも園にもおすすめしたい絵本!

 

作者のよしだきみまろさんは、他にも紙コップや、新聞紙でつくる工作絵本も

 

出版されています☆彡

 

【作:よしだきみまろ 出版社:福音館書店

 

 

 

びんぼうがみとふくのかみ

 

生活は貧しいけど、一生懸命働く家族がいました。

 

朝早くから農作業をして、夜は縫物や機織りをしながら、朝から晩まで若い夫婦は

 

子どもを育てながら働き、毎日とても幸せでした。

 

ある日屋根裏から降りてきた貧乏神様は、100年以上この家で暮らしていましたが、

 

夫婦がとても真面目に働くので、ここにはもう居られないと出ていこうとしました。

 

すると夫婦は引き止め、ごちそうを振る舞い、貧乏神さんを大切にしました。

 

そこへ福の神がやってきて、ここはお前のいるところじゃないと!と言い、

 

貧乏神の腕を掴むと、家から追い出そうと力づくでひっぱります。

 

貧乏神様も福の神が怖くてガタガタ震えながらも、喧嘩を始めました。

 

すると夫婦も貧乏神様に肩入れして、応戦。

 

福の神はえんめいのこづちを落として、逃げていってしまいました。

 

えんめいのこづちを手にした貧乏神様は、そのこづちで、米俵を出し、

 

美味しい食べ物や、子ども達へおもちゃ、小判など、いろんなものを出しました。

 

貧乏神様がまるで福の神になったみたいに。それからも貧乏神様と家族は

 

仲良く暮らしましたというお話。

 

貧乏神と聞くと、はやく家から追い出してしまいたい、運気が下がりそうで、

 

決して歓迎される神様ではないイメージですが、この若夫婦は100年も昔から

 

いてくれた神様を大事に大事にしました。

 

福の神も、貧乏神もどちらも神様に変わりはなく、

 

人を見た目や肩書では判断せず、みんなを同じように大切にしなさいという

 

メッセージを感じます。

 

なんとも頼りなくて、ほっとけない、優しい神様でした。

 

福の神はこづちを失くしてしまい、その後どうなったのでしょう?

 

どこかのお家で大切にされているといいねと言いながら読み聞かせしました。

 

もし、貧乏神を追い出し、福の神を迎えていたら、家族はどうなっていたでしょうか?

 

結果は変わらなかったのか、それとも心から幸福な気持ちになれたのでしょうか?

 

子どもに質問しながら、また違ったお話の結末を考えるのも楽しい絵本時間です♪

 

《著者紹介》

作:大川悦生

1930年長野県に生まれる。早稲田大学文学部卒業。現在、民話を語る会主催。著書に「現代に生きる民話」(NHKブックス)他。絵本に「へっこきあねさがよめにきて」(ポプラ社)他多数。

 

絵:長谷川知子

1947年北海道に生まれる。武蔵野美術短期大学商業デザイン科卒業。現在、フリーのイラストレーターとして活躍中。絵本に「いたずらっこいっちゃった」(ポプラ社)他多数。

※絵本より引用

【作:大川悦生 絵:長谷川知子 出版社:ポプラ社

 

 


びんぼうがみとふくのかみ (子どもがはじめてであう民話 9)