★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

てぶくろ

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てぶくろ

師走になり、冬本番になろうかとしています。

 

朝外を歩いていると、冷たい空気に触れた手が、ひんやりとしてくるようになりました。

 

まだまだやせ我慢をするつもりですが、自転車やバイクで通勤の方は、

 

もうそろそろ手袋の出番でしょうか?

幼い頃このウクライナ民話の『てぶくろ』という絵本は、

 

子どもながらにとても夢がつまっていました。

 

こんなおうちに住んでみたい、大きな手袋の中に自分も入って、

 

外で遊んでみたいと思っていました。

 

大人になって読み返してみても、何度も憧れる世界観。

 

今、冬キャンプが注目されていますが、

 

冬のキャンプで、こんなモコモコ手袋のお部屋があったら楽しいなぁと

 

思いました。

 

この『てぶくろ』という絵本の魅力的なところは、

 

森の動物たちが一匹、また一匹と、てぶくろの住人になっていくのですが、

 

大人からしたら、人間が落としたてぶくろの中に、イノシシや狼なんて大きな

 

動物が入れないと知っているから、発想がそれ以上に飛躍しないのですが、

 

この絵本はリアルに、てぶくろの縫い目が弾けそうになっている様子や、

 

少し窓を作ってみたりしながら、中にぎゅうぎゅうで、動物たちが、

 

身を寄せ合っている様子が描かれていて、

 

てぶくろに大きな動物が入れるという夢と、

 

身を寄せ合って、とても暖かそうで、仲間と過ごす幸せな時間が

 

絵本の魅力としてあふれ出しているように思います。

 

冬にお勧めしたい一冊です。

 

3歳ぐらいから読み聞かせで楽しめる絵本かなと思います。

 

絵を描いている著者のエウゲーニは、シベリアに生まれ、大自然の中で、

 

動物たちと親しんで育ってきたそうで、その作風にはうなずけるものがあります。

 

『てぶくろ』の中の空の絵が冬の混沌としたグレーの重い雲に覆われた空で、

 

下のほうが赤紫色の空にグラデーションされているのですが、

 

とても寒い季節、土地なのが伝わってきますし、木の枝につもった雪も、

 

絵と思えないリアル感があります。

 

冬暖かいコタツ、お布団の中に入って、親子で読みたい一冊です。

 

 

《著者紹介》

 絵:エウゲーニ・M・ラチョフ 1906~1997

   シベリアのトムクスに生まれる。幼年時代をバラビンスカヤ草原の大自然の中で

   鳥や動物と親しんで育つ。クバン美術師範学校キエフ美術研究所で学んだのち

   1030年にキエフの出版所クリトゥーラに務め、編集者シベルスキーに子どもの

   本の絵について教わる。1935年からモスクワ国立児童図書出版所絵画部の編集長

   を務め、数々の動物絵本をうみだず。ライプツィヒ国際図書展銀メダル、

   ロシア連邦共和国人民芸術家賞を受賞。主な作品に『マーシャとくま』

   (福音館書店)『麦の穂』(ネット武蔵野)などがある。

 

文:内田莉莎子(うちだりさこ)1928~1997

  東京生まれ。早稲田大学露文科卒業。1964年ポーランドに留学。ロシア、

  ポーランドチェコなどのすぐれた児童文学・昔話・絵本を翻訳、紹介した。

  主な訳書に、童話『きつねものがたり』『ぞうのドミニク』『ロシアの昔話』

  絵本『おおきなかぶ』『マーシャとくま』『もぐらとずぼん』

 『しずくのぼうけん』『くった のんだ わらった』(以上福音館書店)など多数。

 ※絵本より引用

 【作:ウクライナ民話 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ 訳:内田莉莎子

  出版社:福音館書店

 


てぶくろ (世界傑作絵本シリーズ)