なかなか去年から気軽に旅行や遠出が難しくなりました。
絵本もつい旅をしたような気持ちにしてくれるものを選んでいるなぁと
思うこの頃です。
今日ご紹介したい絵本もとてもユニークな旅の絵本です!
船での長旅の末ついたみなとで、しばらく休んでから、歩き出しました。
いまにも雨がふりそんなどんよりとした空。
耳をすますと、ゆっくりと走るバスのおと、かもめたちの声、遠くから聞こえる雷の音。
誰もいない浜辺で、きれいな石、ピンクの貝殻や、ぬれたまつぼっくりを、
ひとつひとつポケットにいれる。
とうとう雨が降り出し、街に向かい、細い道を練り歩き、
あるお店にたどり着きました。
あたたかい紅茶を頂きながら、ラジオから流れるピアノの音と、
雨の音が心地よく、いつの間にか眠ってしまいました。
そこで夢を見ました。
目が覚めた時には、雨はすっかりやんでいて、
まだ間に合いそうだといそいで海辺へ向かいます。
雨に洗われた空に、きれいな夕日が輝いていました。
そして宿に着くと、かばんからびんせんをだして、
ゆっくりと手紙を書きましたという旅のお話です。
この絵本の『夢を見ました』という2ページの部分が、今まで絵を描いていた人と違い、
文章を書いている作者がその2ページだけ絵を担当していて、
作風が全く違っています。
そのギャップがとてもユニークで、最初読み進めていたときに、
その事実を知らないで読んでいたので、急に絵のタッチ、雰囲気が変わったので、
驚きました。全く描いている人が変わっているとは知らず(*^^)v
それから、『みなとまちから』には、もう一冊、この絵本の世界とつながっている
『とおいまちのこと』という絵本があるようです。二つの世界を自由に行き来しながら
楽しんでくださいと作者から最後メッセージがありました。
気になります(*^-^*)構成ともにとてもユニークな一冊でした。
しっとりとした絵本で、ひとり旅をのんびりとしている心地になります。
幼児から大人まで楽しめる絵本です!
《著者紹介》
作:nakaban
1974年生まれ。画家、絵本作家。旅と記憶を主題とし、絵の中を旅するように
風景を描く。絵画を中心に、絵本、アニメーションなどを制作。おもな絵本に
『ころころオレンジのおさんぽ』(イースト・プーレス)『よるのむこう』
(白泉社)『みずいろのぞう』(ほるぷ出版)、『ぼくとたいようのふね』
(BL出版)、『うみべのいす』(内田麟太郎・作/佼成出版社)、書籍に『窓から見える世界の風』(福島あずさ・著/創元社)、『ことばの生まれる景色』(辻山良雄・文/ナナクロ社)など。
絵:植田真
1973年生まれ。画家、絵本作家。おもな絵本に『スケッチブック』(ゴブリン書房)、
『マーガレットとクリスマスのおくりもの』(あかね書房)、『まじょのデイジー』(のら書店)『セロ弾きのゴーシュ』(宮沢賢治・原作/あすなろ書房)、『ぼくはかわです』(WAVE出版)、『えのないえほん』(斉藤倫・作/講談社)『おやすみのあお』(佼成出版社)、書籍に『リスのたんじょうび』(トーン・テレヘン・著 野坂悦子・訳/偕成社)など。さし絵、装画も多数手掛ける。
※絵本より引用。