★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ルピナスさん

自分で蒔いた種…って言葉があります。

 

いいことも、悪いことも、自分で蒔いたものは全て自分に返ってくるという教え。

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ルピナスさん

ルピナスさんは海を見下ろす丘の上にある小さな家に住んでいます。

 

その家の周りには青や、むらさき、ピンクの花が、咲き乱れています。

 

ルピナスさんは幼い頃、海辺の町に住んでいました。

 

一緒に暮らしていたおじいさんは、家に仕事場を構え、

 

船のへさきに飾る船首像を彫ったり、たばこやの看板のインディアンをつくったり、

 

絵も描きました。おじいさんが忙しい時にはルピナスさんも、

 

おじいさんの絵の空を塗って手伝いました。

 

夜になると、おじいさんから遠い国々のお話をしてもらい、話が終わると、

 

ルピナスさんは『大きくなったら、わたしも遠くへいく。そしておばあさんになったら、海のそばの町にすむことにする。』と言いました。

 

おじいさんは『それはけっこうだが、もうひとつしなくてはならないことがあるぞ』と。

 

『それは世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしてもらいたいのだよ。』

 

ルピナスさんは何をしたらいいかわかりませんでしたが、その約束をしました。

 

ルピナスさんは大人になって図書館で働いたあと、遠い国々を旅しました。

 

南の国から、一年中雪が解けない高い山を登ったり、ジャングルに行ったり、

 

砂漠を横切ったり、行く先々で忘れらない人々との出会いがありました。

 

そしてそろそろ海のそばで暮らそうと決め、小さな家に住み始めました。

 

海を眺めながら、おじいさんとの約束を思い出します。

 

『今もそれほど悪くないけど、どうしたら美しくなるかしら』と考えました。

 

そんな時、前の年の夏にまいた花のたねが、芽を出し、花を咲かせました。

 

そして春になって散歩をしていると、家の庭にまいたルピナスの花が、

 

風に運ばれて、丘の向こう側にも咲き乱れていました。

 

そして素晴らしいことを思いつき、ルピナスさんは、ルピナスの種をたくさん買い、

 

散歩に出る度、そこら中に種を撒いて歩きました。

 

やがて、丘中が美しいルピナスの花で彩られ、それはそれは美しい光景が

 

広がりました。町の人もルピナスの美しさに目を奪われましたというお話。

 

人間たった一人にできることは、とても限られているけれど、

 

常に頭の中、心の中にいい創造をし続けていると、それは波紋のように、

 

回りにいい波動として伝わって、やがて美しい世界に変化していく。

 

小さなアイデア、行動で、確かに世界はいいも、悪いも変化していく。

 

人々に影響を与えるんだよというメッセージを感じました。

 

子どもの読み聞かせには少し長いお話です。

 

大人にもぜひ読んで、貰いたい一冊です。

 

著者のバーバラ・クーニーは、板に水彩絵の具で描き、

 

色鉛筆でアクセントつけるという独特な画法で、物語の世界を作り上げたそうです。

 

 

《著者紹介》

バーバラ・クーニー

1917年にニューヨーク市のブルックリンで生まれ、スミス・カレッジとアート・スチューデント・リーグで美術を学びました。現代アメリカでもっとも活躍している絵本作家のひとり。1959年に『チャンティクリアときつね』(ほるぷ出版)、1980年に『にぐるまひいて』(ほるぷ出版)でコルデコット賞を受けました。2000年没。

 

訳:掛川 恭子(かけがわ やすこ)

1936年、東京に生まれる。

津田塾大学、卒業。

主な訳書に、『フランバース屋敷の人びと』4部作(岩波書店

『魔女集会通り26番地』(偕成社)『はらぺこガズラー』(ほるぷ出版

『みずうみにきえた村』(ほるぷ出版)他、多数。

 

 ※絵本より引用

【作:バーバラ・クーニー 訳:掛川恭子 出版社:ほるぷ出版

 


ルピナスさん―小さなおばあさんのお話