★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

THE DAM -この美しいすべてのものたちへー

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THE DAM

この絵本は本当にあったお話を題材につくられました。

 

モデルとなった父と娘のお話で、住んでいた谷にダムが建設されることになり、

 

慣れ親しんだ故郷は水の中に埋まり、別の場所に移って生活することになりました。

 

ダムに沈んだ谷には、農場や学校、鉄道の線路、人々の暮らす家がありました。

 

そうした家々には、たくさんの音楽家が住んでいて、ダムが建設された、

 

ノーサンバーランドの谷間で演奏し、音楽の活気にあふれていました。

 

ダムが完成すると、谷は水でいっぱいになります。

 

暮らしていた人々は、家に板を打ちつけ、引っ越していきました。

 

少女はダムが完成する直前に父とふたりで、谷に出かけ、家に打ち付けられていた

 

板を剝し、中に入り、空っぽになった家の中で、

 

バイオリンを演奏し、父がそのとなりで歌い最後の演奏をしました。

 

そして、他の家々も一件ずつまわり、同じように最後の演奏をし、

 

その谷を音楽でいっぱいに満たしました。

 

娘さんは今も民族音楽家として活躍し、父も歌手で作曲家です。

 

この谷で育まれた音楽は、ダムによって水の中に埋まってしまったも、

 

生き続け、受け継がれていっている様が描かれています。

 

生まれ育った場所が、水の中に沈んでしまって、家も、人々もバラバラになり、

 

植物や動物もいなくなってしまったけれど、体に刻みこまれた音楽、

 

受け継がれた精神、魂は、永遠に沈むことはなく、今も生き続けているんだよという

 

メッセージが、とてもきれいな絵と、短い文章からひしひしと伝わってきます。

 

少し切なく、でも悲しいだけではなく、強い故郷への愛を感じられる絵本です。

 

子どもにも大人にも読んで欲しい一冊です。

 

本当にあった出来事をもとに、国際アンデルセン賞受賞作家と、

 

ケイト・グリーナウェイ賞受賞画家が描いた尊い命と、魂の物語りです。

 

《著者紹介》

文:ディヴィッド・アーモンド

1951年生まれ。国際アンデルセン賞受賞作家。1998年、『肩胛骨は翼のなごり』(東京創元社)でデビュー。この作品でカーネギー賞を受賞する。その他の作品に『パパはバードマン』(フレーベル館)、『ミナの物語』(東京創元社)、『星を数えて』(河出書房新社)などがある。イギリスのノーサンバーランド州在住。

 

絵:レーヴィ・ピンフォール

イギリスの画家。ファルマス大学卒業後、フリーのイラストレーターになる。

The Djangoでデビューし、2作目の『ブラック・ドッグ』(光村教育図書)でケイト・グリーウェイ賞を受賞。現在、オーストラリア在住。

 

翻訳:久山太一

英米の絵本・物語を中心に活躍する翻訳家。

おもな絵本の翻訳に『ずーっとずっとだいすきだよ』『ポールのまじゅつしウィリー』

『ネコのニャゴマロ』『グラファロ』『グラファロのおじょうちゃん』『まじょとねこどん ほうきでゆくよ』(以上評論社)などがある。

※絵本より引用

【文:デイヴィッド・アーモンド 絵:レーヴィ・ピンフォールド 訳:久山太市

 出版社:評論社】

 


The Dam