つんつくせんせいは、工作が苦手です。
子どもたちと一生懸命、まほうつかいのぼうしを、劇に使うため、
とんがり帽子を作りました。
帽子はのりでベタベタでしたが、みんなとても気に入りました。
先生は帽子に、”つんつくえん、つんつくつるこ”を名前を書きました。
とんがり帽子が気に入った先生は、帽子をかぶって、園児と公園へお散歩に出かけました。
公園ではこざるさんと芸人さんが、芸を披露しています。
先生も園児も一緒に、その芸を見ていると、急に芸人さんが、
先生のとんがり帽子をかりにきました。
そしてとんがり帽子はごサルと、芸人さんの芸に使われました。
先生はちょっと怒っていました。
大事なとんがり帽子で、お金を集め出したのです。
早く帽子を返してもらいたいと思っていると、芸人さんは帽子を先生から借りたのを
すっかり忘れて、自転車に乗ってそのまま帰ってしまいました。
つんつくせんせいと子どもたちは自転車を追いかけました。
帽子をかぶった子ザルは、自転車から木に飛び移りました。
先生もその木に登り始め、あと少しというところで、飛んできたカラスが、
とんがり帽子をガブリ。
先生は帽子を返して~と叫ぶと、驚いたカラスは帽子を放してくれましたが、
焦った子ザルは地面に墜落しそうになりました。
そこに、近くの子どもの手から離れた風船が飛んできて、
子ザルは上手にキャッチ。とんがり帽子をかぶった子ザルはどんどん空にのぼって
いきます。
先生はとてもがっかりしましたが、帽子はあきらめ、もう一度作ろうとしましたが、
2度と同じものはつくることが出来ませんでした。
それから何日かしたころ、つんつくせんせいあてに荷物が届きました。
中から、とんがり帽子と巻物が出て来ました。
巻物には、帽子を借りたお礼に、魔法の薬を塗りましたと記されていました。
劇の発表会当日、魔法使い役の先生が、とんがり帽子を被り、
おまじないを唱えると、
とんがり帽子からたくさんの果物のツルが伸び、果物とその周りを鳥が飛びました。
とんがり帽子は、本物の魔法使いの帽子になりましたという楽しいお話です。
少し不器用な先生が一生懸命作った帽子を、上手にできたお気に入りの帽子が、
小ざるさんとともに消えてしまい、
ひょんなことから、本当に魔法の帽子になって、手元に戻ってきて、
魔法使いの劇で、本物の魔法が起こりサプライズ発表会になるという楽しいお話。
先生が子どもと同じような目線で、喜んだり、怒ったり、落ち込んだり、
素直な気持ちが、描かれていて、子供の心を動かすようです。
子どもが夢中で絵本を見ていました。
《著者紹介》
作:たかどのほうこ
1955年函館市に生まれ。
作品に『いたずらおばあちゃん』『紳士とオバケ氏』『ケチルさんのぼうけん』
『ルチアさん』『おともださにナリマ小』『わたしたちの帽子』(フレーベル館)
『へんてこもりにいこうよ』『すてきなルーちゃん』(偕成社)『まあちゃんのながいかみ』(福音館書店)『いたずら人形チョロップ』(ポプラ社)『のはらクラブのこどもたち』(理論社)『ゆかいなさんにんきょうだい』シリーズ(アリス館)『時計坂の家』『十一月の扉』(リブリオ出版)など。札幌市在住。
※絵本より引用
【作・絵:たかどのほうこ 出版社:フレーベル館】