大きなおうちに住む女の子と、その近くに小さなおうちに住むねずみの家族の物語。
二人とも、家族構成が同じで、同じような暮らしをし、
朝になればそれぞれ学校へ行きます。
ある日、女の子は食事中にスプーンを落として、拾おうとしたときに、
小さなねずみの女の子とパタリ目が合い、お互いの存在に近づく。
女の子はママに、ねずみはきたないから、絶対に近づいてはダメと言い聞かされており、
そしてねずみの女の子も、人間は怖い存在だから近寄らないようにと言われていました。
なので、女の子も、ねずみの女の子も、目が合ったことを、お互いに家族には内緒に
していました。
次の日も女の子はわざとスプーンを落とし、ねずみに手をふりました。
ねずみもフォークをわざと落として、女の子に手をふりました。
やがて、お互いに大人へと成長し、親しんだ家を旅立つことになりました。
女の子もねずみももう会えなくなりました。
やがて女の子はお母さんになり、家族と一緒に大きな家に住みました。
ねずみもおかあさんになりました。家族と一緒にとても大きな家のすみにある、
小さな家に住みました。
やがて女の子が産んだ娘が成長し、ねずみが産んだ娘が成長し、
ある晩女の子がベッドから読んでいた本を落とし、ねずみの子も同じときに、
本を落とし、お互いの存在に気が付きました。
それから毎日二人は本を落として、合図し、そっと距離が近づいていき、
ある晩、顔を合わせて、おやすみなさいと二人で言い合いましたというお話。
女の子と、ねずみの女の子の家族構成が同じで、部屋のつくりも似ていて、
距離感のある、微笑ましい楽しい交流が続きましたが、
大人になってその関係が一度途切れたと思ったら、ひょんなところからまた縁が生まれ、
その距離が少しずつ縮まっていく、なんとも可愛らしい物語。
シルバニアファミリーみたいで、おうちの構図が素晴らしく、レトロでかわいい。
ねずみのソファーは卵のパックに布が敷いてあり、ティパックがクッションだったり、
ビール瓶のふたや、人間の落とし物の小物を上手に壁に飾っていたり、
絵の隅々まで見ていて楽しくなる絵本。
右のページと左のページにそれぞれの家族、家、暮らしが描かれていて、
シンクロする暮らしと、二人の動きを見比べたり、
子どももないしょのお友達関係に、夢中でくいいって見ていました(*^-^*)
《著者紹介》
文:ビバリー・ドノフリオ
米国コネチカット州ウェズリアン大学卒業後、コロンビア大学の創作科で芸術修士を取得。自伝的小説『サンキュー、ボーイズ』はベストセラーとなり、ドリューバリモア主演で映画化もされた。『ないしょのおともだち』は、初めての子ども向けの作品。
これまで23の家に住んだことがあり、そのほとんどの家のすみに、ねずみの家もあった。
米国ニュージャージー生まれ。ノースダコタ州のジェイムズタウン・カレッジで学び、
19歳で絵本作家になるためニューヨークに移る。日本で刊行されている本に、『ダニエルのふしぎな絵』(ほるぷ出版)、『シモンのおとしもの』(あすなろ書房)など。
いま住んでいるコネチカット州の家は1815年に建てられ、代々ネズミが住んでいる。
※絵本より引用
【作:ビバリー・ドノフリオ 絵:バーバラ・マクリントック 訳:福本友美子
出版社:ほるぷ出版】