★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

あさえとちいさいいもうと

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あさえとちいさいいもうと

”あさえが家の前で、ひとりで遊んでいると、おかあさんが玄関から出てきて、

 

銀行にいってくるね。あやちゃんは今おうちの中で寝ているから、

 

起きるころまでには帰ってくるからねと、あさえは妹と二人でお留守番することに。

 

しばらくすると、家の中からあやちゃんの泣き声して、ドアを開けると、

 

あやちゃんが裸足で外に出て来ました。

 

あさえは、あやちゃんに靴をはかせ、家の前で遊んであげました。

 

ポケットの中のチョークを取り出して、地面の上に線路をかきます。

 

あやちゃんと電車ごっこです。

 

あさえは長い線路をかき、線路だけでは物足りず、山やトンネル、踏切を

 

夢中でかきました。あさえがふと顔を上げると、さっきまで、そばにいた

 

あやちゃんの姿がどこにも見当たりません。

 

近くで自転車が急ブレーキをかける大きな音が聞こえ、胸がはげしくなりました。

 

あさえはどうしよう?と駆け出しました。

 

大通りで自転車とぶつかったのは、あやちゃんではありませんでした。

 

『そうだこうえんだ!』とあさえは、お母さんとあやちゃんとよくいく公園へ、

 

向かいます。あさえは遠くに小さな女の子を見つけました。

 

『あやちゃん!!』と声をかけますが、おんなのこはずんずんと いってしまいます。

 

あさえはスピードをあげて近づきましたが、その子は全然知らないよその子でした。

 

あさえはまた走り出しました。

 

ちょうど角にかかったときに、ちいさな子どもの泣き声が聞こえてきました。

 

その途端、曲がり角から ぬぅっと、おとこのひとが あらわれました。

 

おとこのひとが、おんなのこを ひきずっています。

 

あさえは息をのみましたが、やはりしらないよその子でした。

 

お父さんが駄々をこねる女の子に、話しかけています。

 

あさえはまたかけだしました。

 

そして公園に近づくと、『いた!』 ついに公園にあやちゃんがいました。

 

すなばでしゃがんで、遊んでいます。

 

今度こそまちがいなく あやちゃんです。

 

あさえにきがつくと、あやちゃんはにこっと笑って、

 

砂だらけの手をあげました。

 

あさえはぎゅっとあやちゃんを抱きしめました。”

 

 

あさえの目の高さで終始描かれる世界は、

 

トラックが大きく見え、大通りは途方にくれるほど、向こう岸が遠く、

 

小さな妹がこんな大通りを一人で渡ったのかと思うと、めまいがするような、

 

大冒険。小さな子は本当に突然、どうしたらそんなに遠く行けるのかと思うぐらい、

 

ずんずんと前へ進んでいってしまう。

 

大人がはーはーと息を切らしながら登る丘も、子どもは疲れ知らずで、

 

すいすいと上がっていく。

 

あさえは小さな心で、必死で妹を守ろうと、探す姿に、

 

読んでいる私たちもハラハラ、ドキドキの連続。

 

とくに兄弟、姉妹がいる子におすすめの絵本です。

 

《著者紹介》

作:筒井 頼子(つつい よりこ)

1945年、東京に生まれる。埼玉県立浦和西高等学校卒業。

童話に『ひさしの村』『いく子の町』(現在品切れ)、絵本に本書のほか、『はじめてのおつかい』『いもうとのにゅういん』『とん ことり』『ながれぼしをひろいに』『おでかけのまえに』『おいていかないで』(以上福音館書店)などがある。宮城県在住。

 

絵:林 明子(はやし あきこ)

1945年、東京に生まれる。横浜国立大学教育学部美術科卒業。

『かみひこうき』が初めての絵本。筒井頼子さんとの絵本のほかに、『ぼくのばん わたしのばん』『きょうはなんのひ?』『おふろだいすき。』『はっぱのおうち』『10までかぞえられるこやぎ』、自作の絵本に『まほうのえのぐ』『こんとあき』『くつくつあるけのほん(全4冊)』『クリスマスの三つのおくりもの(全3冊)』『でてこいでてこい』、幼年童話に『はじめてのキャンプ』がある。挿絵に、『魔女の宅急便

『なないろ山のひみつ』(以上福音館書店)がある。長野県在住。

※絵本より引用

【作:筒井頼子 絵:林明子 出版社:福音館書店

 


あさえとちいさいいもうと (こどものとも傑作集)