★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

はんなちゃんがめをさましたら *酒井駒子

f:id:kiko_book:20210421110213j:plain

ある日、はんなちゃんはね、めがさめて おきあがってみたら、

 

朝じゃなくて、まだ夜でした。

 

びっくりして はなんちゃんは おねえさんを よんだけど‥‥

 

おねえさんは、よく ねむっていて起きません。

 

それで はんなちゃんは、ネコのチロと一緒にトイレにいって、

 

家族みんなまだ眠っている、静かな家の中を探検。

 

冷蔵庫を開けて、チロに牛乳をあげたり、

 

はんなちゃんは内緒でさくらんぼをつまんだり。

 

お部屋に戻っても、まだおねえちゃんは眠っていて、

 

そっとおねえちゃんの大事にしている人形やオルゴール、

 

ノートに色鉛筆を借りて、おふとんの中で遊び始めました。

 

それでも、おねえちゃんは起きなくて、はんなちゃんは急におかしくなって、

 

お布団の中でクスクスと笑いました。

 

外で鳩の声が聴こえてきます。いつの間にか空が白くなっていて、

 

もう夜じゃなくなっていました。

 

はんなちゃんはだんだんと眠くなってきて、そのままもう一度眠りにつきました。

 

 

夜中に一人だけ目を覚ましてしまったはんなちゃん。

 

幼い頃の私は心細くて、妹を起こしてしまったことがありました。

 

はんなちゃんは、勇気があります。

 

たった一人で部屋を出て、階段を降りて、

 

まだ暗い家の中を探検し始めます。

 

ネコのチロがいてくれたからでしょうか?

 

チロに牛乳をあげたり、冷蔵庫からさくらんぼを取り出して食べて見たり、

 

お部屋に戻っておふとんの中でオルゴールをこっそり鳴らしてみたり、

 

お絵描きをしてみたり、

 

たった一人の時間、まだ家族も町も、みんな寝ている時間に

 

起きている特別な時間をはんなちゃんはめいいっぱい楽しんでいる姿が、

 

頼もしい。子どもからしたら家から一歩も出ていないけれど、これは大冒険です。

 

だんだんと空が白んでいき、ハトな鳴き声を聞き、

 

朝がどこからやってくるのか?ワクワクしている

 

そんなところで、また眠りにつく姿が、子どもの愛らしさにあふれています。

 

《著者紹介》

1966年兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。

『きつねのかみさま(あまんきみこ・作)』で日本絵本賞、

『くまとやまねこ(湯本香樹美・作)』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。

子どもの心の機微を繊細にすくいあげたい作品は、国内はもとより海外での

評価も高く、『金曜日の砂糖ちゃん』でブラティスラヴァ世界絵本原画展金碑、

『ぼくのおかあさんのこと…』でフランスのPITCHOU賞とオランダのZilverenGriffel賞

(銀の石筆賞)を、『ゆきがやんだら』でもオランダのZilverenGriffel賞を受賞している。そのほかの絵本に『リコちゃんのおうち』『よるくま』『よるくまクリスマスのまえのよる』『赤い蝋燭と人魚(小川未明・文)』『ロンパーちゃんとふうせん』

『ビロードのうさぎ(マージェリー・W・ビアンコ・原作)』『BとIとRとD』などがある。

※絵本より引用

【作・絵:酒井駒子 出版社:偕成社

 


はんなちゃんがめをさましたら