古いディーゼルカーが駅のホームに入ってきました。
お客さんを乗せて、元気に警笛を鳴らし出発です。
ガタンゴトンと街を抜け、田んぼをゆっくりと抜けていきます。
山道をゆっくり、ゆっくりと昇っていくと、
もうすぐトンネルです。
トンネルに入った途端、ぶはーんといつもとは違う警笛の音。
ガッタンと、急に車内の電気は消え、ディーゼルカーは止まってしまいました。
トンネルの中なので真っ暗です。
車内の灯はすぐつきましたが、ディーゼルカーは動きません。
運転手さんが調べています。
どうやら故障してしまったようで、運転手さんはすぐに駅に連絡を取り、
前から助けに別のディーゼルきかんしゃがやってきました。
ディーゼル機関車が古いディーゼルカーをひっぱり、ゆっくり2台は
なかよく走り出し、無事次の駅に着くことが出来ました。
小さな一両編成のディーゼルカーが街中を抜けると、一気に
山や田んぼが広がるのんびりとした田舎風景に、スルスルと溶け込んでいく。
クネクネと曲がりくねった線路を走っていくと、トンネルが見えてきて、
トンネルの中に入った途端、ディーゼルカーが故障して、
真っ暗な中、ディーゼルの灯だけが頼りです。
全く動かない心もとなさがよく描かれています。
機関車が助けに来て、牽引され、無事トンネルを抜けたときの、
底抜けのまぶしい青い空で視界がひらけ、無事に駅につきます。
短い文章の中で、繰り広げられるドラマが色彩の彩度で
表現されていてます。
【作・絵:のさかゆうさく 出版社:福音館書店】