ハエも虫も殺せないウィリー。
道を歩いている時には、虫を踏みつぶしてしまわないか心配。
誰かと通りすがりにぶつかっってしまったら、
必ず、『すみません、ごめんなさい!』
自分がたとえ悪くなくても、先に謝る。
チンピラにつかまったときも、
『ごめんなさい』
自分が殴られているのにも、謝る。
みんなこしぬけウィリーと呼んでいる。
ウィリーはそう呼ばれるのがとても嫌だった。
ある日こしぬけおさらば!のチラシを見つける。
すぐにそのチラシの住所にお金を送り、ある日とうとう小づつみが届いた。
中を見ると、まず最初は体操。
決められた分量の食事。山積みになったバナナに埋もれたウィリー。
エアロビクスの教室に通って、
ボクシングを習い、
ボディービルをやり、
ウェイトリフティング。
体を鍛え、みるみると大きくなり、たくましい身体になり、
ウィリーは鏡をみて、しんそこ満足した。
そこで町に出た。
チンピラに襲われてかけているミリーを助け、
ミリーに『あなたはわたしのえいゆうよ。ウィリー』と言われ、
ウィリーは誇らしかった。
『ぼくはこしぬけなんかじゃない!』
『すみません、ごめんなさい!』と電信柱と正面衝突して謝るウィリー。
子どもに読み聞かせしていると、最後のこのオチにゲラゲラと声を上げていました。
絵だけでも、ウィリーの体つきがみるみる変化していく姿。
強くなっていく姿がとても面白い絵本。
何か出来なくて、諦めてしまうのではなく、諦めずに、強く立ち向かう心を、
コミカルに描いている一冊です!
《著者紹介》
作:アンソニー・ブラウン
1946年、イギリスのシェフィールド生まれ。リーズ美術大学でグラフィックデザインを学びました。グリーティング・カードの制作を経て、絵本作家としてデビュー。最も優れた絵本作家の一人として、世界中に認められています。
子どものための30冊をこえる作品のうち、ケイト・グリーナウェイ賞を2回、カート・マシュラー賞を3回、国際アンデルセン賞画家賞、などを授与される栄誉に輝いています。彼の作風は、機智にに富み、シュール・レアリスムを駆使した知的興奮をよぶものとして賞賛され、子どものおそれや不安に、深い理解を示すものとして知られています。
※絵本より引用
【作:アンソニー・ブラウン 訳:久山太市 出版社:評論社】