★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

せかいでさいしょにズボンをはいた女の子  *キース・ネグレー

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メアリー・エドワーズ・ウォーカーという女性が世界で初めてスカートをはいた、

 

本当のお話です。

 

今では女の子、女性がズボンをはくのは”普通”のことですが、

 

この当時では常識が大きく外れた、とてもショッキングなことでした。

 

大人になったメアリーはズボンをはいていることを理由に、何度も逮捕されました。

 

そのたびに、『わたしは男性の服を着ているのではありません。わたしはわたしの服を着ているのです。』と。

 

またメアリーは医学部を卒業し、世の中の人たちが、

 

女性医師を認めようとしない時代であったにもかかわらず、外科医として活躍しました。

 

1861年南北戦争が始まると、自ら北軍の軍医に志願しました。

 

わたしたちが今好きなものを着ることができるのは、当時の社会の常識に疑問をなげかけ、

 

道を切り開いてくれた教師、外科医、戦争の英雄、作家、活動家であった

 

メアリーのおかげなのです。

 

今まで女の子が 着ることができたのは、きゅうくつな ドレスだけでした。

 

おもくて、あつくて、ごわごわしていて、息苦しい。

 

おまけぴったりだから かがむことも できやしない。

 

これまでも そうだったし、これからも そうだって、みんなが いった。

 

それが おかしなことだなんて、みんな思わなかった。

 

メアリーはある アイデアをかんがえた。 だれもがおどろくような。

 

それはそれは すばらしい アイデア

 

これはいい!そうおもった メアリーは みなに みてもらおうと 町へでかけた。

 

でも、いいねって いってくれる人なんて、だれも いなかった。

 

『メアリー・ウォーカー!ズボンなんか はいて、後悔するぞ』

 

とみんなはいった。

 

そんなことはないと思いながらも、みんなの言葉はメアリーの胸に刺さりました。

 

どうしてみんながみんな、メアリーの着るものに 文句をつけるのか、

 

メアリーにはわからなかった。

 

男の子はズボンをはいても何も言われないのに、なぜ女の子はダメなのか。

 

『ズボンをはいている 女の子なんて、みたことが ないからだよ』と、お父さんはいった。

 

『にんげんって、あたりまえだと おもっていたことが かわってしまうのが こわいんだよ。』

 

『じゃあ わたしは やっぱり、ドレスを きたほうが いいの?』

 

『そんなことは、いっていないよ』とお父さんが こたえた。

 

そのよる、メアリーは いつまでも ねむれなかった。

 

あさになって、メアリーは だれが なんと いおうと

 

かまわないって 決心しました。だって、だんぜんズボンがいいもの。

 

それに 学校に いく とちゅう、はっけんも したんだ。

 

はきごこちのいい ズボンは・・・はやく あるける。

 

学校についても、さわぎは つづいていた。

 

これから どうなっちゃうんだろうって、

 

『だめだよ、きみは、男の子のふくを きているじゃないか』と、みんな。

 

『男の子のふくを 着ているんじゃないわ。』

 

『わたしは わたしのふくを きているのよ!』

 

教室でもきっとおなじことが起きていると、かくごして、ドアをあけると、

 

ズボンをはいた 女の子は・・・メアリーだけじゃなかった。

 

みんながズボンをはいて教室でメアリーを迎えてくれましたというお話。

 

ジェンダーの問題が叫ばれる中、昔に比べたら時代は大きく変化してきているのがわかる。

 

でも、まだ完全な平等かと言われると、それは違う。

 

平等を考え、意識しないといけない時点で、まだまだなのかもしれない。

 

女の子がズボンをというお話だったが、逆に男の子がスカートをはくのは、

 

まだその自由は浸透していないように思う。

 

男性から『女性はいいよね。いろんなファッションが楽しめるから。女性のほうが得だよね。』と

 

洋服が大好きな男性から言われたことがある。

 

意識したことがなかったけど、確かに、スカートに、ワンピース、ショートパンツに、

 

ズボンなんでもありだ。

 

当たり前に手にいれていた現実を、男性はまだ手に入れていないんだと気が付いた。

 

男性がメイクを楽しんだり、スカートやドレスを着たり、それらもベターになっていくと、

 

世界はまたぐんと広がりを見せる。

 

【作:キース・ネグレー 訳:石井睦美 出版社:光村教育図書】

 


せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子