私が子ども頃からずっと好きな絵本です。
近所にますだくんみたいな男の子がいて、
気が強くて、言葉が強くて、運動も勉強も出来て、本当にいつも怖くて、
なのに私がずっと自転車を乗れないでいると、超スパルタで、
マンツーマンで自転車を教えてくれて、
『ひとりで練習するからいい。こんなタイヤが細いのに乗れるわけない。』
って言ったら、
『つべこべいってねーで、とにかくペダルこげ!!!』ってまた怒られて、
半泣きでイヤイヤ練習して、その日のうちに本当に乗れるようになって、
怖いけど、面倒見がいいんだなぁと思った覚えがあります。
まさにますだくんと同じ感じ。
すごくみほちゃんの気持ちに共感しながらも、ますだくんって実は優しいのかな?
って客観的に思えた絵本でした。
『となりのせきのますだくん』も、みほちゃんが嫌がるようなちょっかいを
かけ続けています。
でもずっとそばで美穂ちゃんのことを見守っているのもますだくん。
へたくそといいながらなわとびを教えたり、
みほちゃんのえんぴつを折っちゃった時には、
折れてしまった鉛筆をテープで繋げて、
ちゃんと『ごめんよ。』と謝ってくれたり、
ますだくんのかわいいぐらい、不器用で優しいところが溢れているところが、
この絵本の魅力だと思います。
みほちゃんからみると、ますだくんはいつもとんでもないことをしてくる、
モンスター、怪獣のような存在。
でも最後のページのますだくんは、怪獣から、普通の男の子に変化します。
仲直りしても相変わらずな二人の距離感なんですが、
みほちゃんの心の変化がここで表現されているのかなと思いました。
ところで、ランドセルが男女カラーが逆なのには、何か意味があるのかな?ないのかな?
と深読みしてしまいます笑
《著者紹介》
作:武田美穂(たけだみほ)
1959年東京に生まれる。日大芸術学部油絵科中退。絵本の作品に『スーパー仮面はつよいのだ』『ふしぎのおうちはドキドキなのだ』などがある。天性の絵本作家であり、
今後が大いに期待される。さし絵には『たっくんマント・しりとりヘンシン1・2・3』『100てんをありがとう』など多数の作品がある。
※絵本より引用