広い海の中に小さな魚たちの兄弟が仲良く泳いでいた。
スイミーは黒い色で、他の兄弟はみんな赤い小さな魚だった。
するとある日、お腹をすかせ大きなマグロが、
小さなスイミーたち兄弟を丸のみしてしまう。
命からがら逃げられたのは、たくさんいた兄弟の中で、スイミーたったひとり。
独りになってしまったスイミーはとても怖かった。
寂しかった。悲しかった。いつもの海がとても恐ろしい場所に思えた。
けれど、顔を上げてみると、海には素晴らしいものでいっぱいだった。
面白いものを見つけるたびに、スイミーはわくわくし、元気を取り戻していった。
にじいろのゼリーのくらげに、水中ブルドーザーみたいな伊勢えび。
ドロップみたいなこんぶやわかめの林、
風に吹かれるように、はためく桃色のいそぎんちゃく。
そのとき、いわかげにスイミーの兄弟にそっくりな魚を見つけた。
みんな楽しいよ、出ておいでと声をかけるも、大きな魚に食べられてしまうから、
出られないと言う。
スイミーも兄弟を大きな魚に食べられたばかりだったので、考えた。
どうしたらいいか。
そして、スイミーは突然いいことを思いついた。
みんなで一緒に泳いで、巨大な魚になればいいんだ。
僕だけ黒色だから、大きな赤い魚の目になろうとみんなに提案しました。
そしてみんなで大きな魚を追い出しましたというお話。
自分ひとりだけが黒い色をして産まれたスイミー。
そして広い海の中、大きな魚に、みんな兄弟たちが食べられてしまって、
独りぼっちになってしまった。
海が今まで以上に広くみえたスイミー、兄弟を失った悲しみ、
心細さを抱えていたスイミーだったが、ちょっと顔をあげて、
景色をみてみると、海の中は色鮮やかで、面白く、美しい世界が
広がっていることに気が付く。
それはスイミーにもう一度生きる力を与えてくれる程、大きなものだった。
兄弟たちと同じ魚にまた再開し、今度こそ、安心して、
大きなこの美しい世界をみんなにも見せたい。
怯えていないで、みんな顔をあげて一緒に泳ごう。
一人で出来ることは限られているけど、それが沢山あつまれば、
大きな魚にだって勝つことができる。
ちょっと視点を変えて、工夫すれば、私たちは今日も楽しく生きていける。
そんなメッセージを感じました(*^-^*)
《著者紹介》
作:レオ=レオニ
1910年オランダのアステルダム生まれ、イラストレーター、グラフィックデザイナー、
および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。
作品には、”Little Blue and Little Yellow",カルデコット賞次点で、当社邦訳発行の「ひとあし ひとあし」(Inch by Inch)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」。「せかいいち おおきな うち」(児童図書スプリングフェスティバル賞およびBIB金のリンゴ賞)「さかなは さかな」や、1964年最優秀作品としてアメリカ図書館協会の指定をうけた"Tico and the Golden Wings" など。
※絵本より引用