★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ぼくを探しに *シルヴァスタイン

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作者のシルヴァスタインが、だめな人と、だめでない人のために贈る物語。

 

何かが足りない、自分に足りないかけらを探しに行く旅。

 

ころころ転がりながら、歌いながら、ボクは何か欠けているから、

 

上手く転がれない。

 

途中道で会ったミミズと話したり、花の香りをかいだり、

 

かぶとむしに追い越されたり、

 

雨の日も、晴れた日も、雪の降る寒い日も、僕は転がり続ける。

 

とうとう、かけらを見つけた。

 

でも小さすぎて、すぐにはずれてしまった。

 

次に見つけたかけらは大きすぎた。

 

ようやくぴったりなかけらを見つけたと思ったら、

 

落としてしまった。

 

もう落とさないようにと、くわえ過ぎたら、壊れてしまった。

 

旅を続けていると、ようやくまたぴったりのかけらを見つけた。

 

ぼくは転がり続ける、綺麗な丸になったから、坂道もすごいスピードが出る。

 

もう立ち止まれない。

 

綺麗なお花も、景色も、一緒に旅した虫たちも見ることができないほど、

 

もう楽しい歌も歌う余裕がないほどに、よく転がる。

 

僕はぴったりのかけらを、そっと置いて、

 

また何か欠けているボクに戻って、一人でゆっくり歌いながら転がり始めた。

 

 

シンプルなおおきな白の余白の中に、黒い線だけで描かれる絵。

 

小さな子どもでも、絵を追うだけで面白い。

 

何をしているのか、なんとなくわかる。

 

自分に欠けている何を探しに、欠けている何かを埋めようとする。

 

それは恋人なのかもしれないし、家族、友人なのかもしれないし、

 

知識や、才能、能力かもしれないし、お金やモノなのかもしれない。

 

自分に欠けている何かを追い求め、転がり進んで、

 

自分にピッタリなかけらを見つけるけども、

 

形が合わなかったり、大きかったり、小さかったり、

 

そして探し求めていくうちに、本当にピッタリなかけらを見つける。

 

綺麗な丸になったのに、転がるスピードも速くなったのに、

 

歌が歌えなくなって、手放し、また一人に。

 

自分に欠けているものを誰かに、埋めてもらうのは、違うって気づいたのかもしれないし、

 

そもそもみんな欠けているのが当たり前で、欠けているからこそ、

 

素晴らしいんだと気づいたのかもしれない。

 

カケラはいつも自分の中に、あるのかもしれない。

 

シンプルなだけに、どのような解釈もでき、その人の自由。

 

人生で時間を置いて、また読み返したら、その時によって、

 

解釈が変わってくるように思います(*^-^*)

 

子どもは面白いと言って、分厚い絵本ながら、最後まで集中して見ていました☆彡

 

《著者紹介》

作:シェル・シルヴァスタイン

シカゴ生まれ。作家、イラストレーター、歌を作りギターも弾く。カウボーイ・ハットを愛し、いつもジーンズ姿でいる自由人。『歩道の終わるところ』(講談社刊)など作品各種。1999年没。

【作・絵:シェル・シルヴァスタイン 訳:倉橋由美子 出版社:講談社

 


新装 ぼくを探しに