★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

なんでもモッテルさん

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目の下の青いクマと、生気のない表情の家族写真の表紙に、

 

この『なんでもモッテルさん』という言葉の居心地の悪さ、

 

表紙のアンバランスさに惹かれてしまいました(*^^)v

 

なんだろう?どんなお話なんだろう?と興味そそられました。

 

丘の上の大きなお屋敷に住むモッテルさん。

 

何でも欲しいもは手に入れ、何でも持っている。

 

世界から買い集めたツボ、彫刻、壁に有名な画家の絵、

 

時計は100個、ぼうし100個、ネクタイは365本毎日ちがうネクタイをする。

 

金庫の中にはお金や宝石がいっぱい。

 

ガレージには立派な高級車が何台も並ぶけれど、モッテルさんは運転しない。

 

眺めるだけ。ただ所有しているというだけで満足。

 

奥様も、宝石に、綺麗な服、靴をたくさん囲まれて生活している。

 

子ども部屋は、おもちゃで溢れかえっている。

 

おやつも食べ放題。

 

欲しいと言えば、何でも買ってもらえます。

 

一つ買うと、また次が欲しくなる。

 

買っても買ってもキリがありません。

 

集めたものは、部屋からどんどんあふれ出し、

 

家族は毎日些細な事で喧嘩をしています。

 

そんなある日、今までに来たこともないような嵐がやってきて、

 

人々は避難しました。しかしモッテルさん家族は、避難しませんでした。

 

どろぼうに入られたらどうする?と言って、地下室に家族で避難しました。

 

そうこうしているうちに、屋根が吹き飛ばされ、

 

家じゅうのものが、ぐるぐる ぐるぐる うずをまき、

 

空高く まいあがりました。

 

テーブルや椅子などの家具も、車も、彫刻も、宝石も、おもちゃも、金庫も。

 

嵐がすぎてしずかになり、家族が地下室から出てみると、

 

そこには壁と窓と、ドアがありました。

 

でもほかのものは 何もありませんでした。

 

『おーい!だいじょうぶかーい!』

 

むらのひとたちが おかを のぼって やってきました。

 

スコップを持った人、毛布や食べ物を持った人、

 

心配して様子を見に来てくれたのです。

 

村の人たちに手伝ってもらって、モッテルさんはあたらしい 家を建てました。

 

家族がやっと暮らせる 小さな 小さな家を。

 

だけど、4人ともまえよりずっと楽しそう。

 

たくさんのものをなくしたけど、べつのものを手に入れることが出来たからです。

 

お金ではかえない、とっても 大切なものを。

 

 

一つものを増やせば、それに合わせてまた一つと増えていく。

 

家を買う。安心な暮らしを手に入れたと同時に、

 

そこから軽々引っ越してというのが難しくなる。

 

そして、車も家も買っただけで終わりではなくて、

 

定期的にメンテナンスが必要だし、税金もかかり、維持費にお金がかかる。

 

服も、おもちゃも、食べ物もなんでもそう。

 

豊かさと同時に、不自由さもあり、人がモノによって縛られてしまっては、

 

元も子もない。

 

嵐のときに、物が心配で、自分たちの命の安全よりも、避難しないでとどまることを

 

選択したのが印象的。

 

何もかも嵐で失ったけれど、村の人々が助けてくれ、支えてくれ、

 

お金では買えない人の気持ち、みんなと一緒に過ごす時間、

 

喜びや悲しみを分かち合うかけがえのない仲間を手に入れたモッテルさんたち。

 

少ないものを大切にすること、物やお金では得られない充足感、

 

そして自由さを教えてくれる一冊。

 

大人は興味深く、整理・掃除がしたくなる絵本(*^-^*)

 

子どもには、友達やモノを大切にすることを教えてくれる一冊。

 

《著者紹介》

文:竹下文子(たけした ふみこ)

1957年、福岡県に生まれる。東京学芸大学卒業。『黒ねこサンゴロウ』シリーズ(偕成社)で路傍の石幼少年文学賞を、『ひらけ!なんきんまめ』(小峰書店)で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。主な作品に『わすれんぼうのはりねずみ』『風のゆうびんやさん』『クッキーのおうさま』『ポロポロゆうびん』(以上あかね書房)、『ピン・ポン・バス』(偕成社)、『なまえのないねこ』(小峰書店)、『しゃっくりくーちゃん』(白泉社)、『ポテトむらのコロッケまつり』(教育画劇)など多数がある。

静岡県在住。

 

絵:アヤ井アキコ(あやい あきこ)

1967年、北海道に生まれる。大学卒業後、印刷会社勤務を経て、美学校造形基礎教場、

同校シルクスクリーン工房で学び、漫画誌『ガロ』で漫画家としてデビュー。絵本『もぐらはすごい』(アリス館)で日本絵本賞を受賞、2019年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(小学校低学年)に選ばれる。画を手掛けた作品に『月宮殿のおつかい』(幻冬舎)、『ろばくんととらねこ ふたりでかいもの』(フレーベル館 キンダーおはなしえほん)、『ゆきドラゴン』(学研プラス おはなしプーカ)、『山菜の絵本(農文協)などがある。東京都在住。

※絵本より引用

【作:竹下文子 絵:アヤ井アキコ 出版社:あかね書房

 

 


なんでもモッテルさん