★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

百年の家

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1656年に作られた家を、1900年に、すでに廃屋となっていた家を、

 

子どもたちが見つけて、再建し、そこからの100年を、家の目線で語られていく物語。

 

その100年の間に、家族が増え、幸せな時間、作物が実り、生活の豊かな時、

 

そして家族の死、戦争、災厄、山火事などの苦しい時を一緒に乗り越え、

 

時代とともに家族の形を変え、生活が変化し、家はそれを定点観察のように、

 

見守っている物語の構成になっている。

 

家はだたの箱ではなく、家族の歴史、思い出、足跡を残すもの。

 

そしてそこに住む人々を、家は優しく受け入れ続ける。

 

何度も、何度も季節がめぐりながら。

 

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5年がたち、根付いたブドウの木が、新しい芽をつけた。

 

ここに住むことにした人たちは、

 

工夫を重ねて、強い品種の果樹を育てる。

 

 

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そして10年後娘は結婚した。

 

2人の結婚式も、この家で行われた。

 

とても幸せな時。たくさんの人が祝福するため、この家に集まった。

 

まもなく子どもが生まれて、新しい家族を迎えた。

 

戦争が始まり、兵隊だった夫を失った。

 

みんなが無邪気でいられた時間は、すてきだった。でも、短かった。

 

寒い冬を超え、家の周りに植えた果樹はたわわに実をつけ、

 

ぶどうジュースを家族や近所の人総出で、作った。

 

そして刈り入れの日。果てしない小麦との戦い。

 

収穫量が多いことを願って。

 

やがて戦争により、家が最期の避難場所になり、

 

何もかもなくした人たちを、受け止めた。

 

それから時は進み、息子が母親の元を離れて、街へ移り住む日がやってきた。

 

昨日までの名残をすべて、バッグに詰め込んで。

 

 

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今までの暮らし方を継がない。それが新しい世代だ。

 

だが、若さだけでは、この家の古い石は、取り替えられない。

 

この家がわたしだ。けれども、わたしはもうだれの家でもない。

 

運命をたどってきたわたしの旅の終わりも、もうすぐだ。

 

20年後のわたしは、墓の土になっているだろう。

 

私は独りのまま、うごけないのだ。

 

野生のものが、自然のちからが、入り込んできて、

 

わたしをささえる玉石は崩れ落ち、跡形もなくなるだろう。

 

なくなったものの本当の護り手は、日の光と、そして雨だ、と。

 

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そしてまた誰かのてによって、生まれ変わる。

 

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また家族の歴史が季節と一緒に、めぐるのだ。

 

ずっと家を中心に視点を置きながら、移り行く季節、そして周囲の風景、住む人々が、

 

はいってくる。

 

家が最初から最後まで、静かに私たち読者に語りかけてくれる。

 

 

《著者紹介》

絵:ロベルト・インノチェンティ

1940年生まれ。『エリカ 奇跡のいのち』『くるみわり人形』『ピノキオの冒険』などの作品で知られる世界的な絵本画家。2008年に国際アンデルセン賞画家賞受賞。イタリア、フィレンツェ在住。

 

文:J.パトリック・ルイス

1942年生まれ。経済学の教鞭をとった後、詩人絵本作家として活躍。今日、アメリカの卓越した作家として知られている。主な作品に『ラストリゾート』がある。アメリカ、オハイオ州在住。

 ※絵本より引用

 

 

 

 


百年の家 (講談社の翻訳絵本)