雨によって、持たされたギフト。
水たまり、虹、草木にぶら下がる雫の美しさ、雨の臭い、湿った風。
大人になって、みずたまりを見つけると、よけて歩いてしまうけれど、
子どもの頃は、水たまりは最高の遊び相手だった。
まず、自分の顔を写してみる。鏡みたい。
水たまりにうつる空を見て、空が落ちてきたんだと思っていた。
そこに、長靴の先を入れると、静かに広がっていく波紋。
楽しくて、ドキドキして、そのまま長靴でジャブジャブ。
それだけじゃもの足りなくて、裸足になってジャブジャブ。
泥のヌメリっとした、ぬるい柔らかさに、鳥肌がたった。
夜のみずたまりは、真っ黒で、ブラックホールのよう、
そこに足を踏み入れてしまったら、どこまでも落ちて行ってしまいそうな、
黒くて、深い、落とし穴のよう。
絵本には、雨上がって空が晴れた日の水たまりや、
夕焼け空に染まったピンク紫色の水たまりや、
夜の星空が浮かぶ水たまり、
それから日に日に枯れていく水たまりの様子。
水たまりに集まる鳥たちや、大きなタイヤの轍のあと、
いろんな足跡ができて、乾いていく。
だんだん、みずたまりが、ちいさくなっていく。
そして、みずたまりが、消えた。
でも、あるひ また雨がふってきたら、
みずたまりがもどってきた。
みずたまりに きょうは だれが くるのだろう?
雨のいい思い出が、思い出される水たまりの定点観察をした写真絵本です。
大きな水たまりなほど、心が躍った記憶が鮮明に蘇ってきました。
【作:細川剛 出版社:福音館書店】