★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

じょうききかんしゃビーコロ  *ミノオカ・リョウスケ

f:id:kiko_book:20210621095440j:plain

 

ビーコロとは、工場内しか走らないための、小さな蒸気機関車

 

ビーコロは他の蒸気機関車たちのように、外の広い世界をいつか

 

走ってみたいなと憧れている。

 

重い貨車を運んだり、たくさんのお客さんを乗せたりすることが

 

できないビーコロはみんなのことがうらやましい。

 

蒸気機関車が点検や修理をするときには、火を消すので、

 

その時が、ビーコロの出番です。

 

ビーコロは蒸気機関車に出会うたびに、もっと強くなりたいなぁ、

 

もっと速くなりたいなぁと思います。

 

そうしたら僕もいつか、みんなみたいに外を走れるはずと。

 

その日の夜、ビーコロは外に飛び出そうとしました。

 

すると、『こんな夜更けにどこにいくつもり?』と聞かれ、

 

ビーコロは外を走ってみたいんだと打ち明けました。

 

 

すると仲間の機関車に声をかけ、みんなが力を合わせて、

 

ビーコロを外で走らせることに、協力してくれることになりました。

 

先頭にビーコロ、そしてデゴイチ、シロクニさん、

 

途中客車をはさんで、最後にハチロクさん。

 

4台の機関車が息を合わせて、走ります。

 

ビーコロは長年の夢を、仲間と一緒に叶え、幸せな一日を過ごしたお話。

 

この物語はフィクションですが、実在した蒸気機関車をモデルとして、

 

実際にあったできごとをもとに作られた絵本です。

 

ビーコロと呼ばれたB20の形蒸気機関車は、

 

構内の入れ替え作業のためだけにつくられた機関車で、戦争時設計による

 

資材節減と簡略化構造のため、使用条件が限られたフォークリフトのような存在でした。

 

その後、さまざまな機関車がつくられたために、本来の目的でもあまり活躍することなく、

 

多くが短命で破棄されましたが、小さい姿がアイドル的存在として親しまれ、

 

北海道と鹿児島の工場に1台ずつ残されました。

 

鹿児島の1台は、たった一度だけ、イベント列車として、外で客車を引いた記録があり、

 

その時は4重連で3両の客車を引きました。

 

現在は、京都鉄道博物館で動態保存されています。

 

真っ黒な蒸気機関車。最初はその違いがよくわからなかった。

 

でもよくよく見ていると、形やデザインがそれぞれ違って、

 

大きさも機能も目的に合わて、作らていて、

 

ビーコロに関しては、外を走るものでなく、

 

構内での作業専用に作られている蒸気機関車があることをこの絵本で知った。

 

最後に、みんなそれぞれに、役割があって、それぞれに特別な存在なのだよと

 

語り掛けてくれる言葉が印象的でした。

 

《著者紹介》

ミノオカ・リョウスケ

1961年兵庫県神戸市生まれ。滋賀大学教育学部美術学科卒業。絵本に『まんまるダイズみそづくり』(福音館書店かがくのとも)『どんどんキップ』(鈴木出版)、紙芝居に

『ここほれガッチャ』『しゅつどう!はしごしゃノビールくん』『よるのせいそうしゃスイーパーくん』(以上、童心社)などがある。子どものための美術教育やワークショップにも取り組んでいる。

※絵本より引用

【作・絵:ミノオカリョウスケ 出版社:童心社

 


じょうききかんしゃビーコロ (絵本・こどものひろば)