★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ねぼすけスーザーのおかいもの  *広野多珂子

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スーザーはマリアおあばさんと小さな村に住んでいます。

 

毎日、ねぼすけなスーザーはおばさんにフライパンを耳元でならされても、

 

おかまいなし。

 

ちょっとやそっとのことでは起きません。

 

今日のスーザーはいつもと違います。

 

早起きのおばさんよりも、早くに目覚め、

 

ロバの背中に乗ると、街へと繰り出しました。

 

ようやく街につくと、スーザーは首から下げていた黒い袋を握りしめ、

 

働いて貯めた、このお金で素敵な買い物をしようとワクワクしています。

 

まちの市場では、おいしそうなオレンジ、かわいいお人形が売られていますが、

 

もっと素敵なものを買いたいスーザーはがまんです。

 

市場を とおりぬけた スーザーは、おおきな となりの

 

ほうせきやさんのまえで たちどまりました。

 

素敵な首飾りを見つけいうっとりと眺めていましたが、

 

でも、一番素敵なものは、きっとほかのものだとまた歩き出しました。

 

帽子屋さんに靴屋さんも、見ながらスーザーは考えました。

 

でもやっぱり一番素敵なものは、これではないわと思いました。

 

通りの奥に見えるお店に、赤い椅子が見えました。

 

その椅子を見つけた時、スーザーは私が探していたものはこれだと感じました。

 

お店のおじさんに、この椅子をくださいと言って、お金を見せると、

 

おじょうさん、この椅子はそれだけのお金じゃ、買えないよと言われ、

 

スーザーはがっかりして、お店をあとにしました。

 

しばらく通りを歩いていると、壊れた家の前に、椅子が捨てられていました。

 

でも椅子の足がどうやら壊れているようです。

 

しばらくスーザーはその椅子を見つめていました。

 

スーザーはいいことを思いつきました。

 

さっそくロバの背中に椅子を固定すると、

 

街のはずれのお店で赤いペンキと赤い布を買いました。

 

黒い袋の中は、すっかりからっぽです。

 

そして、スーザーは家路を急ぎます。

 

家に着くと、そのまま納屋にこもりました。

 

納屋の方から作業をする賑やかな音が響きます。

 

ペンキの匂いもしています。

 

マリアおばさんが、納屋の扉を開けると、

 

そこには、赤いすてきな椅子がありました。

 

スーザーはおばさん、お誕生日おめでとうと、

 

おばさんが以前から編み物をするときの椅子が欲しいと言っていたのを、

 

スーザーは覚えていて、お誕生日のプレゼントを探しに街へ出かけたのでした。

 

その後スーザーのねぼすけはどうなったかというと、そのままねぼすけ

 

スーザーのままなのでしたという、ほっこりと優しい気持ちになれる絵本です。

 

スーザが町に出て買い物するシーンは読んでいてワクワクします。

 

一緒に買い物をしているような気分になり、スーザがかき集めた50枚のコインの

 

重み、価値は、実際のお金の価値以上に喜び、愛に溢れている。

 

そして色々な素敵なものに出会う中で、いつも

 

スーザはまだ素敵なものが他にあるはずと、あゆみを進め、

 

スーザの探す素敵なものって何だろう?

 

どんな宝物なのだろう?とワクワク最後まで楽しみに読める一冊。

 

結局お目当てのものは買えなかったけれど、スーザはそこであきらめず、

 

古いものをリメイクして、世界にたった一つの宝物を、

 

自分の手で作り上げる。

 

そしてそれをプレゼントしたら、喜んでもらえたこの経験は、

 

何よりの宝物となったはず。

 

《著者紹介》

作:広野多珂子(ひろのたかこ)

1974年、愛知県生まれ。スペインのシルクロ・デ・ベージャス・アルテスに学ぶ。

帰国後、児童書の世界に入る。おもな絵本の作品に、『おさんぽ おさんぽ』

『ビーテル、はないちばへ』『おひさまいろのきもの』(以上、福音館書店)がある。

おもなさし絵の作品は、『魔女の宅急便その2』(福音館書店)、『ぼくのクジラ』(文研出版)。また児童書以外の著書に『テンダーおばあさんと描くやさしい花のペン画』(日貿出版社)がある。千葉県在住。

※絵本より引用

【作・絵:広野多珂子 出版社:福音館書店

 


ねぼすけスーザのおかいもの (こどものとも傑作集)