★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ガオ *田島征三

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目を凝らして見てみると、やまいぬの体が、木の実で表現されています。

 

歯の牙や、毛並みまで感じられて、今にも動き出しそう。

 

絵は全ページ、木の実で描かれている。

 

木の実のひとつひとつは、小さくて、かわいらしい。

 

無数の木の実を使うと迫力のある絵や、勇ましい動物の姿を描くことが

 

できのかと驚くばかり。

 

”あるひ やまいぬはおおごえで ほえたくなった

 

やまいぬは ちからいっぱい ほえた ガオ

 

やまいぬの げんきは からだから

 

ぜんぶ とびだしてしまった

 

からだが くずれる

 

げんきも くずれる

 

ところが

 

やまいぬの からだは 6ぴきの へびに かわり、

 

げんきは おそろしい とりに なった。

 

 

ペロリ ゴクン

 

ペロリ ペロリ ゴクン ゴクン

 

さいごの いっぴきは くさのなかに かくれた”

 

”おやまの おおきな やまいぬになってやる!

 

さいごの いっぴきは ほえた

 

でも、ちいさな かえるに なってしまった

 

まけてたまるか かえるだって つよいんだぞ

 

かえるは おそろしい とりに ぶつかっていった

 

なんと とりは バラバラに なってしまった

 

バラバラに なった とりは すなのうえに おちた

 

そして かわいい かえるに なった

 

なんだか なつかしい きもちに なって にひきは だきあった”

 

”すると おやまの げんきな やまいぬに なった”

 

心(魂)と体が別々に別れて、それが、それぞれに別の形へ変化し、

 

ヘビと鳥になったり、

 

鳥とカエルになったり、

 

カエルとカエルになって、

 

また出会い、お互いを懐かしく感じ、最後離れた2つが1つになる。

 

小さな木の実が、集合すると、やまいぬになったり、

 

カエルや鳥に、形を変える様が子どもには、とても驚きのようです。

 

木の実で描く、不思議な絵本です!

 

《著者紹介》

作:田島征三(たしま せいぞう)

1940年、大阪府生まれ。高知県で幼少期を過ごす。多摩美術大学図案科卒業。

東京都日の出町で、ヤギやチャボを飼い畑を耕す生活をしながら絵画、版画、絵本などを創作する。1998年より静岡県伊豆高原に移住し、木の実との新しい出会いもあり、

近年、木の実など自然の素材を使ったアートを本格的に展開している。

この作品は、作者が取り組んだはじめての木の実の絵本。

絵本に『ちからたろう』(第二回ブラティスラヴァ世界絵本原画展金のりんご賞・ポプラ社)、『ふきまんぷく』(第五回講談社出版文化賞偕成社)、『とべバッタ』

(絵本にっぽん賞、小学館絵画賞・偕成社)、『ふるやのもり』『だいふくもち』

『おじぞうさん』(福音館書店)、『しばてん』『くさむら』(偕成社)などがある。

エッセイ集に『絵の中のぼくの村』(くもん出版)、『日の出の森をたすけて』(法蔵館)、『人生のお汁』(偕成社)、作品集『きみはナニを探してる?』(アートン)などがある。

※絵本より引用

【作・絵:田島征三 出版社:福音館書店

 


ガオ (こどものとも傑作集)