陽が傾きかけ、もうすぐ夜を迎える。夜までのほんの短い時間ゆうぐれ。
雨の日には、夜との境界線が見えにくくなる、ゆうぐれ。
太陽がいつもより大きくなって、赤くなったようなきがする。
どこに落ちて、どこに消えてしまったのだろう。心もとない気持ちになる。
それと同時に一日の終わりに安堵したり。
男の子とおじいさんと犬が、散歩をしています。
大きな川に 沈んでいく 夕日が見えました。
まちに戻ってくると、
みんな夕日には目もくれず、なにやら忙しそうに歩いている。
家に帰る人、家に帰る前に買い物に出かける人、それぞれに。
影が色濃くなり、空はだんだんと暗くなっていく。
陽がすっぽりと落ちたら、
まちの あかりが ともりました。
あかりはひとつ、またひとつと、街を明るく照らしてゆく。
光の連鎖のように、いつの間にか、あたりは光で満ち溢れていく。
明るい夜の世界。
”おとこのこがいいました。
『わーい、よるも きらきらしてるんだね!』”
ユリ・シュルヴィッツの絵本は光がテーマになっている作品が多い。
私たちはいつも光を求め生きている。光を見つけ、光のさす方へ進んでいく。
ゆうぐれはそんな大きな太陽という光が地平線に沈み
街もだんだんと光を失っていく。
自然の光が消えたと同時に、今度はぽつりと家に灯りがともり、
街にネオンがきらめき始める。
また違う光に出会う。
人は光に魅せられ、吸い寄せられるように、集まる。
光をテーマに、性質の異なる光に切り替わる瞬間が美しく描かれています。
《著者紹介》
作:ユリ・シュルヴィッツ
1935年、ポーランドのワルシャワに生まれる。4歳で第2次世界大戦をむかえワルシャワを離れ、パリ、イスラエルに移った後、1959年アメリカに渡る。
現在、ニューヨーク在住。主な作品に『よあけ』『あさのひ』(共に福音館書店)
『ゆき』『おとうさんのちず』(共にコルデコット賞銀賞・日本絵本賞 あすなろ書房)『空とぶ船と世界一のばか』(コルデコット賞 岩波書店)、『あるげつようびのあさ』(徳間書店)、『ぼくとくさまさん』『ねむいねむいおはなし』(共にあるなろ書房)、『たからもの』(コルデコット賞銀賞 偕成社)などがある。
※絵本より引用
【著:ユリ・シュルヴィッツ 訳:さくまゆみこ 出版:あすな書房】