どうろぼうたちのよるは三篇の物語がで構成されています。
最初のお話は、表紙の題名にもなっている『どうろぼうたちのよる』。
3人のどろぼうがいました。3人は仲良く一緒に暮らしていて、
ある日、だれが一番上手にどうぼうできるか比べることになりました。
のっぽのどろうぼうは、お百姓さんの家の煙突から、どうぼうに入ろうとしたら、
屋根が抜けてしまい、大きな物音に、犬が鳴き、ニワトリが騒ぎ、
お百姓さんも起きてしまいました。
おなべに突っ込んでしまった片足が抜けないまま、一目散に逃げだしました。
一番ちびのどうぼうは、町のお屋敷に忍び込み、大きな金庫を開けました。
大きな金庫の中には小さな缶が一つ。
小さな缶を握りしめて、一目散で帰りました。
ふと月明りに照らしてみて見れば、まめの缶詰。
大きな金庫と思っていたのは、ふるい冷蔵庫だったようです。
でぶのどろぼうは、まちはずれの家へ。
誰もいないと思っていましたが、風変りなおじいさんと鉢合わせ。
これはようこそと、おじいさんの長年していきた研究の話をされ、
帰る時に、研究の資料や本をたくさんお土産にくれました。
あけがた三人はとってきたものを見せ合いました。
おなべと、まめと、かみくずと、
三人はぷっと噴き出して大笑い。
温かい豆のスープをつくり、おれたちはなんてすてきなどうぼうなんだろうと
話しましたというお話です。
なんとも憎めない、愛らしい三人のどろぼうさん。
どうぼうのお話なのに、子どもにもほこっりとした気持ちで、
読み聞かせができるから不思議な世界感。
次のかげどろぼうというお話も、とてもユニークです。
ある日おじさんが夜散歩をしていると、そのおじさんの後ろをこっそりつけている
男がいました。
おじさんは夜空の流れ星に目を奪われ、しばらく空を見上げていると、
そのすきを狙って、男が近づき、おじさんのかげをグルグルと巻物のように
巻き取って奪っていってしまいました。
おじさんは気がつかず、そのまま散歩を続け、ふと自分の足元を見た時、
影がないことに気が付きました。
足をバタバタさせ、こまのようにまわったりしてみましたが、
自分のかげがどこにも見当たりません。
おじさんは自分の影を探し回りました。
とうとう、あやしい男を見つけました。
おとこはせっせと 少女のかげを 盗んでいるところでした。
おじさんはどろぼうに、盗んだ影を返せ!と怒鳴りました。
すると、かげどうぼうは、ひとつ適当に影を返してくれました。
しかし、そのかげはおじさんのものではなく、さっきの少女のものだったのです。
おじさんは仕方なく、自分のかげが戻ってくるまで、少女の影をつれて散歩することに
しました。でもこれも悪くないなぁ~と思いましたというお話。
切り口が面白く、想像していなかった結末(オチ)にクスッと笑いがこぼれるお話です。
絵の色使い、タッチも優しくて、夜寝る前に読むと、愉快な気持ちになる絵本です(^^♪
良い夢が見れそうです☆彡
【作・絵:佐々木マキ 出版社:絵本館】