★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ベルナルさんのぼうし  *いまいあやの

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表紙からもわかるように、中のページの絵もとても綺麗で、

 

それでいて、綺麗なのに温かみも同時に感じられる絵に惹かれました。

 

くまのベルナルさんにには、家族も友達もいません。

 

たった一人で生きています。

 

誰にもかまわれることのない、暮らしは気楽だと思っています。

 

ベルナルさんの唯一の楽しみは、お気に入りの帽子を被って散歩に出かけること。

 

ある日、お気に入りの帽子にキツツキが穴をあけ、住みつきました。

 

ベルナルさんは出て行ってくれ!とキツツキに言いましたが、

 

キツツキは穴から動かないどころか、他の鳥が飛んでくると、その鳥たちのために、

 

帽子に新しい穴をあけ、巣をつくってやるのでした。

 

やってくる鳥は増えるいっぽう。

 

だんだんベルナルさんの帽子はどんどん長く、高くなっていきました。

 

始めは途方にくれていたベルナルさんも、次第に鳥たちの美しい歌声を聞くうちに、

 

楽しい気持ちになっていきました。

 

ベルナルさんの帽子はすぐに有名になり、みんななんてすばらしいアイデアと、

 

ベルナルさんのような背の高い帽子をまねする人たちまで。

 

秋になり、ベルナルさんの帽子はとうとう家の高さを越え、

 

ベルナルさんはそっと家のそとに帽子を置きました。

 

毎朝餌をやりに外にでるベルナルさん。

 

ある朝、帽子の中の鳥たちがみんないなくんっていました。

 

せっかく友達になれたのに・・・・もう会えないのかな・・・・

 

また元の静かな暮らしに戻っただけさと、つぶやきながら、

 

鳥たちがいつ戻ってきてもいいように、えさを毎日用意しました。

 

”全然心配なんかしてないぞ”と言いながら、窓の外を眺めていました。

 

日に日に太陽が出ている時間が短くなって、寒くなってきました。

 

ベルナルさんも冬眠の時期が来ました。

 

一生懸命起きていようとするものの、まぶたが重くなっていき、

 

とうとう深い眠りについてしまいました。外は雪がしんしんと降り始めました。

 

トントントン!

 

誰かがベルナルさんのおうちをノックしている音で、長い眠りから覚めました。

 

起き上がって、ドアを開けると、

 

いつの間にか春がやってきていました。

 

キツツキが知らせに来てくれたのです。

 

帽子は根をはやし、大きな木になり、

 

またたくさんの鳥たちが戻ってきました。

 

ベルナルさんは、またみんなと再会することができ、とても幸せでしたというお話です。

 

色とりどりの鳥たち。どんな美しい声で鳴くのだろう?と想いを巡らせながら、

 

季節も静かに巡り、景色が変わる中で、変わらない関係が続く。

 

ひとりぼっちだった、ベルナルさんに、たくさんの小さなお友達ができ、

 

一人の時とは、またひと味ちがう豊かな時間をベルナルさんは知りました。

 

【作:いまいあやの 出版社:BL出版

 

 


ベルナルさんのぼうし