★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ゆうれいとすいか  

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『ゆうれいとすいか』と聞くと、どちらも夏の風物詩!?のようで違和感を感じないけれど、

 

字並びを見ていると、あまりセットでは見かけない並びだ。

 

どんな内容なのだろうと想像に、胸をふくらませページをめくると、

 

ゆうれいさんにとっても夏は暑いようで、

 

井戸で誰かが冷やしていたたスイカを食べたくなって

 

がまんできず、食べてしまった。

 

すいかを冷やしていた男がそこにやってきて、

 

『ひとさまのすいかを食べて、ゆうれいとしてはずかしくないのか!べんしょうしてくれ!』

 

と怒り出す。

 

人としてじゃなくて、ゆうれいとしてという言い方もおもしろいけど、

 

ゆうれいに遭遇したのに、まったく怖がっていないどころか、べんしょうしてくれ!と

 

本気で怒っている男もまた面白い。

 

ゆうれいさんも泣きながら”もうしませんから~おゆるしを~”と泣き出す。

 

男は幽霊の手をひっぱると、許すかわりに言うことを聞くんだと、

 

男の家までひっぱっていきます。

 

ゆうれいをおうちに連れていくの!?

 

手は掴めるんだとか、大人は変な概念で読むから、つっこみどころ満載www

 

男はまず最初に、蚊をたおしてくれと頼みました。

 

するとゆうれいは、あまりにたくさんの蚊にどうしたらいいかと考えて・・・・

 

ところてんをつくる道具を男にかりて・・・・

 

その道具にひゅるっと入ると、男にキューと押し出すようお願いして、

 

押し出すと、一人だった幽霊が、たくさん増えて、

 

それぞれに蚊を追いかけていく。

 

このご時世に、なんて効率のいい方法でしょう。

 

そして男はゆうれいにお礼を言うと、

 

”それにしても、やっぱり すいかが ほしいなぁ”と言い、

 

”『わかりました。にんげんの せかいの すいかで なくてよければ、すぐ もってきますが・・・・。』”

 

とおばけくみあいで つくった すいかをひとつもってきた。

 

中を割ると、赤いすいかではなく、真っ青なすいかが。

 

食べてみると、さむい、さむい。体がよく冷える。

 

この珍しくて、体が心底冷える、ブルーのすいかは町でも売れるぞと男は考え、

 

ゆうれいにたくさん持ってきてもらうと、

 

”ひときれ たべれば ぜったい すずしくなる おいしい すいか”と

 

うたって、町の人に売りましたというお話。

 

本当に涼しくなりそうなスイカだけど、やっぱりスイカは赤がいいなぁと思ってしまった。

 

登場してくる幽霊も、人間らしい一面があって、とても愛嬌があります。

 

すいかを食べられて怒った男も、ゆうれいを人のように接していて、

 

まったく怖がっていない。

 

せなけいこさんが描くおばけ絵本は、おばけで人を怖がらせるんじゃなくて、

 

おばけをもっと身近にして、おばけのことが好きになってしまうから、

 

ユニーク(*^-^*)

 

ちょっと過ぎてしまったけど、夏にぴったりな1冊です★

 

《著者紹介》

作:黒田 薫(くろだかおる)

東京生まれ。和光大学卒業。絵本店、雑誌社勤務の後、

図書館で読み聞かせをしていた。作品に「ゆきだるまのあたま」(すずき出版)

「ふしぎなシャベル」(メイト)、「はやおきおばけ」(フレーベル館)、紙芝居に

「だれかおしえて」(童心社)など。

 

絵:瀬名恵子(せなけいこ

東京生まれ。武井武雄氏に師事。児童出版美術家連盟会員。

JBBY会員。「いやだいやだの絵本」により、サンケイ児童文化賞受賞。

作品に「おばけのてんぷら」(ポプラ社)、「かみなりのおやこ」(童心社)、

「おおかみのでんわ」(金の星社)など多数。

※絵本より引用

【作:くろだかおる 絵:せなけいこ 出版社:ひかりのくに

 


ゆうれいとすいか