この絵本を一番最初に読んだときには、正直あまりピンと来ませんでした!
でも読み込めば読み込むほどいい絵本だということに気が付きます。
絵本は木炭のようなものでデッサンしたような白と黒のモノトーンの中にも、
優しさ、ぬくもりを感じるタッチで描かれています。
男の子が紙の帽子を被って、ラッパを持って森の中へ散歩するところから始まります。
森の中に入ると、たくさんの動物たちに出会うのですが、
男の子は無理強いするわけでもなく、来るもの拒まず、一緒に散歩にでかけます。
動物たちに出会うたび、それぞれに身支度したり、おやつを食べていたり、
お昼寝していたり、楽器を持っていったり、色んな動物が登場しますが、
男の子はひたすら動物たちの様子を伺いながらひたすら待ちます。
まるで子育てしている母親と、子どものような関係。
楽器を鳴らすも、みんなテンポはばらばらだけど、
とっても楽しそうで、賑やかなのが、モノクロの世界からも、
色鮮やかに伝わってきます。
途中ピクニックをして、みんなでおやつをかこんだり、ハンカチ落とししたり、
また歩き始めて、その途中でかくれんぼをしたり。
『もういいかい?』と声をかけて、男の子が森を見渡すと、
動物たちはいなくなっていて、
男の子のパパがひょっこり男の子を迎えにきていました。
男の子は動物たちと楽しく過ごしたことを話すと、
お父さんはまたきっと会えるよと男の子に答えます。
男の子の新しい世界への探検・冒険・成長と、どんなに遠くへ行っても、
ずっと見守っていてくれる人がいる安心感、やすらぎが、この絵本にあります。
読めば読むほど、味わい深く、繰り返し飽きずに読める絵本です☆彡
《著者紹介》
マリー・ホール・エッツ
1895年、アメリカのウィスコンシン州の小さな町に生まれました。
動物たちと親しんだ幼時は、のちのマリーに、決定的な影響をあたえました。
物心つくころから絵をかき、小学校一年のときには、おとなの美術のクラスで勉強するほどのうでまえになっていました。
その後、社会学と社会事業に大きな関心をもち、第一次大戦のころから、おもに子どもの福祉のために働きましたが、のち、健康を害して、絵本をかきはじめました。
『ペニーさん』『海のおばけオーリー』など、数ある絵本のなかで、1959年に出版した『クリスマスまであと九日』は、アメリカの絵本に与えられる最高の賞、コールデコット賞を受賞しました。1984年没。
※絵本より引用
【作・絵:マリー・ホール・エッツ 訳:まさきるりこ 出版社:福音館書店】