ねずみくんのチョッキシリーズは、ほのぼのとしていて、幸せな気持ちになります。
全体的に余白が大きくとる構図、
表紙のとおり緑の枠のまま構成されていて、シンプル。
シンプルだからこそ、動物の表情だったり、体の大きさが良く分かり、
余白がこの物語のスパイスになっている。
『ちょっと着せてよ』『少しきついが似合うかな?』が合言葉のように、繰り返される。
ねずみくんが赤いチョッキをお母さんに編んでもらった。
とてもピッタリで、似合っている。
ねずみくんもチョッキを着て、自慢げに他の動物たちにチョッキを貸す。
ちょっときつそうにしている動物たちの表情が子どもに大うけです。
次から次へと、ねずみくんは自分のお気に入りのチョッキを着させてあげます。
みんな表情が豊か。照れ臭そうにしたり、おどけて見せたり、
チョッキは大丈夫なのかな?
ついに大きなぞうさんまでチョッキを着だしました。
着られるのでしょうか?
ギギギギギ、ミシミシミシ、ピリピリと音がしてきそうです。
ぞうさん、緑の枠を超えて、はみ出ています。
ねずみくんの小さなかわいいチョッキが、めいいっぱい伸びて糸のように細く伸びています。
ねずみくん大慌て。
このあと、すっかり伸びきってしまったチョッキを両腕にひっかけて、
ずるずると引きずりながらトボトボと歩き、がっかりしているねずみくん。
ぞうさんが、そんなねずみくんの姿をみて、
チョッキを長い鼻にかけて、ねずみくんにブランコしてあげるページが最後
なのですが、少しほっこりとします。
子どもは力加減や、大きさ、出来ること、出来ない事の判断、具合などがまだわからない。
やってみて初めてわかる。たくさんの失敗と挑戦を重ねて大人になっていくんですよね。
大人は伸びてしまうとわかっているから、最初から挑戦しない。
でもまた、貸さなかったらこんなに楽しいことも、また起こらない。
短い言葉とシンプルな絵だからこそ、面白さがあり、何度読み聞かせても飽きのこない
絵本です(*^-^*)
《著者紹介》
作:なかえよしを
1940年神戸に生まれる。日本大学芸術学部美術科卒業。広告のデザイナーを経て、絵本の世界へ。絵本作品に『ねずみくんのチョッキ』『のうさぎとねこのポテ』『えんとつのないきかんしゃ』(ポプラ社)ほか多数。
絵:上野紀子
1940年埼玉に生まれる。
日本大学芸術学部美術科卒業。1973年ニューヨークで『ELEPHANT BUTTONS』(Harper&Row社)出版。『ねずみくんのチョッキ』(講談社出版文化賞)『あまんきみこのあかちゃんえほん』シリーズ(ポプラ社)ほか多数。
※絵本より引用