★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

るすばんいす   *山﨑優子

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いつも家にお留守番のるすばんいす。

 

留守番って置いてきぼりになってしまったような、寂しさと不安で胸が苦しくなる。

 

誰かを待つ時間の、それはそれは長いこと。

 

でも、誰かが帰ってくることが分かっているからこそ、はじめて持てる気持ちなのだ。

 

今日もるすばんいすは、小さなこうちゃんを見送る。

 

いつものことだから、慣れているつもりだけど、

 

やっぱり寂しい。本当は一緒に行きたい。

 

静かになった部屋の静けさが、やけにうるさく感じる。

 

でも今日は、ふうせんのふうちゃんも一緒にお留守番。

 

一人じゃない。

 

つまらないよね、留守番って。

 

ふうちゃんは、窓際で、流れる雲を見ながら、わたしも遊びに行きたいと

 

こうちゃんがひとりじゃ、心配って。

 

こうちゃんはどこにいるの?

 

なにをしているの?

 

”わたしも ちょっと みてくるわ

 

いってきます”

 

窓からふうちゃんが飛び出す。

 

るすばんいすは、本当にひとりになっちゃった。

 

ぼくも連れて行ってほしいなぁと椅子は思う。

 

”こうちゃんとふうちゃん、いまごろ どこに いるのかな

 

ちゃんと あえたかな

 

はやく かえってこなかな”

 

窓から見える夕焼け空。

 

向こうに小さなふたりが見えてきました。

 

おかえり。

 

まっててくれるのがうれしいって二人がいうから、

 

ぼく、いつでもまっててあげるよ。

 

”でも でも、ふうちゃん、こんどは いっしょに おるすばんね。”

 

るすばんいすは、待っててもらえるのがうれしいと素直な気持ちを話すこうちゃんに、

 

いつまでもお留守番をしてあげるよと決意しながらも、

 

やっぱり一人のお留守番は寂しいから、ふうちゃん一緒にお留守番しようと

 

お願いするところがとても可愛らしいし、愛らしい。

 

読んだ後、とても優しい気持ちになれます。

 

子どもと一緒におでかけすることがまだ多いですが、

 

大きくなって行動範囲も広くなって、お友達同士で、出かけることも増えていくと

 

思うと成長が嬉しい反面、心配と寂しさもある。

 

待つ寂しさと不安を、るすばんいすに重ねてしまう。

 

『おかえり』、『ただいま』の短い言葉が愛おしい作品です。

 

【作・絵:山﨑優子 出版社:至光社

 

 


るすばん いす (至光社国際版絵本)