★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

また もりへ  *エッツ

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エッツの作品『もりのなか』の続編版です★

 

男の子がラッパと帽子を被って、ふたたび森の中へ。

 

動物たちは、みんなで、それぞれの得意技を披露しています。

 

キリンは首を長く伸ばし、頭は木の葉に隠れて、顔が見えなくなりました。

 

次はライオンさん。

 

ライオンさんの特技は、大きな声で吠えること。

 

森が揺れるぐらい、木の葉はびっくりして落ちてしまいました。

 

カバさんは大きな口を開けて、すいかとパンを一本食べました。

 

男の子の体がすっぽりはいってしまうぐらいの、大きな口をあけて。

 

オウムは羽を羽ばたかせながら、蓄音機みたいに、しゃべりまくりました。

 

お次は子どものゾウが出てきて、鼻でピーナッツをつまみあげました。

 

”『ほかに、だれか、これができるかね?』”

 

”『はぁーい、できます』とぼくがいいました。”

 

まず逆立ちをして、鼻でピーナツを掴もうとしましたが、

 

おかしくなって、笑ってしまいました。

 

すると、ぼくが笑うのを見た動物たちは、

 

みんな驚いて目を丸くしました。

 

”『これが、いちばんいい!ほかのだれにも、これは できないからねぇ。』”

 

鳥も、獣も、森の動物たちも、だれも 男の子のようには笑うことが出来ません。

 

みんなで森の中を行進していると、向こうの方からお父さんの声が聞こえてきました。

 

『さようなら』と歳をとったゾウが言って、鼻で男の子をおろしてくれましたが、

 

くすぐったくて、また笑ってしまいました。

 

起き上がると、動物たちはすっかりいなくなっていました。

 

”『なにが そんなに うれしいんだい?』おとうさんが、ぼくをみつけていいました。”

 

ぼくは、森の動物も、獣もみんな僕みたいに笑えないから、笑ってみたいんだってと

 

お父さんに話しました。

 

お父さんも男の子みたいに、笑ってみたいよと言いながら、

 

手をつないで一緒に帰りました。

 

こちらの作品もモノクロで描かれているからこそ、森の風景や、鳥のさえずり、

 

虫の鳴き声、木漏れ日、男の子の無邪気な笑い声が、色鮮やかに、

 

浮かび上がってくるようです。

 

子どもに読み聞かせしていても、笑うということが人間にしか出来ない特別なことと、

 

よく分からないようでしたが、大人が読んでいると、

 

それは、とても新鮮な気づきとなりました。

 

お父さんの最後の言葉は、男の子のように無邪気に笑ってみたいよという

 

メッセージだったのかな。

 

動物たちもそれぞれ形も違うし、大きさも違うし、得意もみんな違うけど、

 

それぞれに良いところがある。

 

そして笑顔が一番、無邪気な純粋な心が、何よりの宝であることを教えてくれる絵本。

 

陽だまりのような温かい読了感に包まれる一冊です!

 

【作・絵:マリーホール・エッツ 訳:まさきるりこ 出版社:福音館書店

 


また もりへ (世界傑作絵本シリーズ)

 

 


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