エッツの作品『もりのなか』の続編版です★
男の子がラッパと帽子を被って、ふたたび森の中へ。
動物たちは、みんなで、それぞれの得意技を披露しています。
キリンは首を長く伸ばし、頭は木の葉に隠れて、顔が見えなくなりました。
次はライオンさん。
ライオンさんの特技は、大きな声で吠えること。
森が揺れるぐらい、木の葉はびっくりして落ちてしまいました。
カバさんは大きな口を開けて、すいかとパンを一本食べました。
男の子の体がすっぽりはいってしまうぐらいの、大きな口をあけて。
オウムは羽を羽ばたかせながら、蓄音機みたいに、しゃべりまくりました。
お次は子どものゾウが出てきて、鼻でピーナッツをつまみあげました。
”『ほかに、だれか、これができるかね?』”
”『はぁーい、できます』とぼくがいいました。”
まず逆立ちをして、鼻でピーナツを掴もうとしましたが、
おかしくなって、笑ってしまいました。
すると、ぼくが笑うのを見た動物たちは、
みんな驚いて目を丸くしました。
”『これが、いちばんいい!ほかのだれにも、これは できないからねぇ。』”
鳥も、獣も、森の動物たちも、だれも 男の子のようには笑うことが出来ません。
みんなで森の中を行進していると、向こうの方からお父さんの声が聞こえてきました。
『さようなら』と歳をとったゾウが言って、鼻で男の子をおろしてくれましたが、
くすぐったくて、また笑ってしまいました。
起き上がると、動物たちはすっかりいなくなっていました。
”『なにが そんなに うれしいんだい?』おとうさんが、ぼくをみつけていいました。”
ぼくは、森の動物も、獣もみんな僕みたいに笑えないから、笑ってみたいんだってと
お父さんに話しました。
お父さんも男の子みたいに、笑ってみたいよと言いながら、
手をつないで一緒に帰りました。
こちらの作品もモノクロで描かれているからこそ、森の風景や、鳥のさえずり、
虫の鳴き声、木漏れ日、男の子の無邪気な笑い声が、色鮮やかに、
浮かび上がってくるようです。
子どもに読み聞かせしていても、笑うということが人間にしか出来ない特別なことと、
よく分からないようでしたが、大人が読んでいると、
それは、とても新鮮な気づきとなりました。
お父さんの最後の言葉は、男の子のように無邪気に笑ってみたいよという
メッセージだったのかな。
動物たちもそれぞれ形も違うし、大きさも違うし、得意もみんな違うけど、
それぞれに良いところがある。
そして笑顔が一番、無邪気な純粋な心が、何よりの宝であることを教えてくれる絵本。
陽だまりのような温かい読了感に包まれる一冊です!
【作・絵:マリーホール・エッツ 訳:まさきるりこ 出版社:福音館書店】