落語の絵本シリーズ。
私が初めて知った落語がこの寿限無でした。
あとは、まんじゅうこわいも有名で、よく落語家がテレビで高座していますね。
子どもに初めての落語なら、寿限無が一番興味を持ってもらえそうだったので、
読み聞かせに選びました。
子どもが生まれ、子に素敵な名前を付けたいと考える夫婦は、なかなか決められず、
お寺の和尚さんに聞くことにしました。
和尚さんは、めでたい名前をいくつも提案してくれました。
鶴は千年生きるし、亀は万年生きると。
しかし、男は千年や万年しか生きられないなんてかわいそうだと言います。
では和尚さんは寿限無はどうでしょう?
寿、限り、無し。大変にめでたい名前ですと。
他にも・・・・・といくつもめでたい名前を提案しました。
教えてもらった中から選ぶことになったのですが、
男は結局どの名前も良くて、選びきれず、和尚さんの教えてくれた名前を全部
羅列することにしました。
男の子の名前は、『じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょ、すいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ、くうねるところにすむところ、やあぶらこうじのやぶこうじ パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイの、ポンポコピーの、ポンポコナーの、ちょうきゅうめいの、ちょうすけ。』くんに決まりました。
とても長くめでたい名前になりました。
ご近所に紹介するときにも、
ちゃんと言えなくてはと練習です。
こういうものは、大人より子どもの方が覚えるのがはやく、
さっそく赤ちゃんが泣けば、子どもたちがみんなであやそうと、
『じゅげむしゅげむ・・・・』と名前を最後まで呼び上げる間に、
赤ちゃんはすやすやと寝てしまう始末。
こんなにもめでたい名前をつけ、愛情たっぷりに育てられ、
男の子はすくすくと健康に育っていきました。
そんなある日のこと、近所に住む金坊とチャンバラごっこをしていて、
けんかになってしまい、金坊に殴られて、たんこぶが出来ているのを、
近所に住むおかみさんが見ていて、たいへんだ~と伝えに来てくれました。
しかし、その話をしようと男の子の名前を言い始めると、長い長い。
なかなか本題にたどりつけません。
ようやくおかみさんが、奥さんに伝えると、
今度は奥さんが、旦那にそれを伝えようとしますが、
またとにかく名前が長いこと。
ようやく話し終えて、旦那が空き地へ飛んで行ったころには、
二人は肩を組み、仲直りしておりましたというお話です。
著者の川端誠さんの落語絵本シリーズは全部で15巻になります。
落語にあまり馴染がない大人にもわかりやすい内容になっていますし、
子どもは寿限無に関しては、何度も同じ言葉が繰りかえされ、
意味がわからないけど、リズムと響きのいい言葉を気に入って覚えようと
します。
読み終えた感想はというと・・・
『名前ながすぎて、名札に入らなくない?』と心配していました(*^^)v
とってもいい視点です笑
親としてはおめでたく、素敵な名前を付けたい、でも選びきれないという気持ちが
痛い程よくわかり共感を覚えます。
人の心がよく表れている落語、それを少し誇張しているから、また面白いですよね。
他のシリーズも読んでみようと思います(*^^)v
※絵本より引用
【作・絵:川端誠 出版:クレヨンハウス】