まっかな翼を持つこのうとり号は、昔大活躍していた郵便飛行機。
今は倉庫にロープで繋がれて、ひとりぼっち。
空を飛んでいた頃は、みんなが『こうのとり号だ!』と声をかけてくれた。
もう、ボクのことを知っている子どもたちはいないだろう。
また空を飛んでみたいなぁ~あの頃のようにと思いました。
こうのとり号は、倉庫でじっとしているのが嫌になり、
狭い倉庫の中をいったりきたりしていると、
とうとうロープが切れて・・・
倉庫の外へ、空へ、こうのとり号は飛び出しました。
久しぶりの空。
こうのとり号はくるくると、円を描きながら、鳥たちと一緒に飛び回ります。
村の上を飛ぶと、みんな空を見上げて声援を送ってくれています。
村の子どもたちも大喜び。
こうのとり号もみんなの歓声がうれしくて、エンジン全開で、
見事なカーブを描き、宙がえりして、ゆっくりと村へ降りました。
すると、村長さんが『村の郵便局長に任命する』と、
真っ赤なボディーを、ピカピカに新しく黄色に塗り替えてくれました。
こうして昔のように、空高く飛び、毎日村から遠くの街へ
みんなの手紙を運ぶことになりました。
この絵本は勇気を振り絞って、外に出て、また新しい場所を見つける勇気と喜びを
描いた一冊です!
こうのとり号が、空を飛ぶのが楽しくて、嬉しい気持ちが、
波打つ字のデザインにも表れていて、素敵です。
子どもから、どの世代にも、新しい居場所を見つける、今いる場所から飛び出す
前に進む勇気を与えてくれる絵本です(*^-^*)
《著者紹介》
作:ジェームス・クリュス
1926年、ドイツ・ヘルゴラント島生まれ。戦後のドイツ語圏で人気のある児童文学作家のひとり。邦訳された作品に、『あごひげ船長九つ物語』(講談社)、『笑いを売った少年』(未知谷)などがある。1960年ドイツ児童文学賞、1968年国際アンデルセン賞受賞。1997年没。
絵:リーズル・シュティッヒ
1913年、ドイツ・バイエルン州生まれ。ニュルンベルク、ベルリンの美術学校で学んだのち、絵本、新聞の風刺画、本の挿絵等の画家として活躍。2000年没。
※絵本より引用
作:ジェームス・スクリュス
絵:リースル・シュティッヒ
訳:はたさわゆうこ
出版社:フレーベル館