ティラノサウルスの聞くと、恐竜の中の王者で、どんな獲物も獲得し、
怖いものなんてない、一番強い肉食恐竜なイメージがあります。
でもこの絵本はティラノサウルスの立場に立って描かれ、
強いばかりのティラノサウルスの姿だけでなく、
まるで、自分がティラノサウルスになったような気分で読み進められます。
『せんろはつづく』人気シリーズでお馴染みの著者コンビが描く恐竜絵本です。
とてもやわらかいタッチの絵で、ティラノサウルスの以外な一面を垣間見ることができます。
朝目覚めたと同時に、はらぺこなティラノサウルス。
獲物を探して、草原に出て来ました。
ドロマエオサウルスを見つけて、追いかけましたが、足が速すぎて、
逃げられてしまいます。
鳥を見つけ、追いかけましたが、鳥は空高くに飛んでいってしまいました。
次にパラサウロロフスの集団を見つけましたが、体の大きなティラノサウルスは、
目立ち、すぐに相手に気づかれてしまい、近づく前に、警戒されてしまいました。
それならと、ティラノサウルスは考え、隠れて待ちぶせすることにしました。
しばらく隠れていると、パキファロサウルスを発見!
頭が固いやつだぁ~と断念。
お次は、アンキロサウルス。これまた背中が固いやつ。
アラモサウルスは、さすがに大きすぎる。
トリケラトプスは、角がとんがっていて、なかなか手ごわいし。
もういいかげん、はらぺこのティラノサウルスの前を、
オルニトミムスの群れが通る。
よーく見て、狙って、狙って・・・
ぱくり。
仕留めたばかりだというのに、そこに現れたのは、ゴルゴサウルス。
獲物を横取りしたいようだ。
どちらもはらぺこ。はらぺこ対決。
負けてたまるか、無事ティラノサウルスが勝ち取りました。
ようやく、食事です。
おなかいっぱいになったティラノサウルスは幸せな気持ちで、
お昼寝し始めました。
夜目覚めると、またはらぺこに。
明日もおなかいっぱいでいられますようにと願うティラノサウルスです。
なんでも仕留めてしまいそうなティラノサウルスも、
食べることに、苦悩しながら、戦いに勝って、ようやく食事をすることができました。
何でもいいわけではなく、しっかりグルメなところも、くすりと笑いがこぼれるところ。
とげとげしくて、手ごわいだの、頭が固いだの、背中がごつごつしているだの、
何を食べるか、吟味しているところも、チャーミングな一面です。
ティラノサウルスだけでなく、たくさんの恐竜が登場する本作。
恐竜が大好きなお子さんにおすすめの絵本です(*^-^*)
《著者紹介》
作:竹下文子(たけしたふみこ)
1957年、福岡県に生まれる。東京芸術大学で幼児教育を学び、在学中に童話集『星とトランペット』でデビュー。『黒ねこサンゴロウ』シリーズ(偕成社)で路傍の石幼少年文学賞を、『ひらけ!なんきんまめ』(小峰書店)で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。主な作品に『のりものえほん』シリーズ、『まじょのむすめワンナ・ビー』(偕成社)、『ねえだっこして』『すすめ!きゅうじょたい』シリーズ(金の星社)、
『なんでもモッテルさん』(あかね書房)、『なまえのないねこ』(小峰書店)、
絵:鈴木まもる
1952年、東京都に生まれる。東京芸術大学中退。『黒ねこサンゴロウ』シリーズ(偕成社)で赤い鳥さし絵賞を、『ぼくの鳥の巣絵日記』(偕成社)で講談社出版文化賞絵本賞を、『ニワシドリのひみつ』(岩崎書店)で産経児童出版文化賞JR賞を受賞。主な作品に『ねこのおすしやさん』『のりものえほん』シリーズ(偕成社)、『せんろはつづく』(金の星社)、『みずとはなんじゃ?』(小峰書店)、『ウミガメものがたり』(童心社)。また鳥の巣研究家として『鳥の巣いろいろ』『ツバメのたび』(偕成社)、『巣箱のなかで』(あかね書房)などの著書がある。静岡県在住。
※絵本より引用
作品:ティラノサウルスのへらぺこないちにち
著者:竹下文子
イラスト:鈴木まもる
出版:偕成社