刺激のない毎日。いつも同じ毎日を繰り返しているようで、ちょっと退屈していた。
そんなある日、ぼくの家の裏に、不思議な家が建った。
その家は魔法使いとかが住んでいそうな、不思議な家だった。
僕は、勇気を出して、その家を訪ねてみることに。
するとそこは、おキモチやさんだった。
あなたの知りたいおキモチを見せましょうと。
”『おキモチ?じゃあ きりんの くびの おキモチをください。』”
あんな長い首があったら毎日刺激的な気がすると思った。
気が付くと、ボクはきりんの首になっていた。
でもシマウマとも目が合わないし、空を飛ぶ鳥とも目が合わない。
ただただ遠くが見えるだけ。何も起こらないし、平和だった。
今度は電球をつけるスイッチのきもちになることにした。
こちらは結構楽しい。
上に下にレバーを変える度に景色が変わる。
そして電気が付いたり、消えたり、人に役に立っている気がしてうれしい。
釣りをした日、さかなのおキモチを買いにいった。
広い海の中を泳いでいると、目の前に急に小エビがたくさん現れて、
他の魚と競い合いながら、パクリ。
いた~い!!!!!
その瞬間、気が付いたら地上にいた。
でもすぐに海に戻された。
なぜならボクは小さかったから、食べられずにすんだんだ。
うみに戻ったら、『おまえ、うんがよかったな』ってみんなに言われた。
口にあいた傷の数が多いほど、魚たちの中では強運の持ち主らしい。
次はいつも 寝てばかりのパパのおキモチを買いに行った。
そしたら、もう信じられないほど、忙しくて、毎日くたくた。
家に帰ったら、ほっとして、気が付いたら寝てしまっていて、
夢でたくさんボクと遊んでくれていた。
夢の中で、ぼくとママに愛しているよと、伝えてくれた。
いろんな人だけではなく、動物や、モノの立場になることで、
気持ちを知り、意外性があったり、もっと大切にしたいなと思えたり、
優しくしたくなったり、反省してみたり、面白がったり、
おキモチやさんは、気持ちだけでなく、経験も一緒に売ってくれるお店。
とても楽しく子どもと読み聞かせできました(*^-^*)
《著者紹介》
作:ときなつき
現在、香川大学医学部医学科在籍。趣味はドラムとバスケとEテレをみること。
第19回えほん大賞で、本作が絵本部門大賞に選ばれる。
※絵本より引用
【作品:おキモチや 著者:ときなつき 出版:文芸社】