すべてのページが木版画で描かれていて、多色刷りになっています!
版画とは思えないほど、登場する動物のからだの線が、キレイな曲線を描き、
車窓から見える街並みはグラデーションがかかっているところや、
細かな模様がとても素敵です(*^^)v
物語は、おばあちゃんと二人で動物園に向かうために電車に乗った男の子のお話。
チリンチリンと音がした方向を見ると、なんとキリンの車掌さんが。
そしてトンネルの中に入ると、パオーンと音がして、運転席を覗くと、
運転手さんはゾウになっていました。男の子はびっくり!
さっきまでの車内のお客さんもみんな動物になっています。
カメの親子の甲羅の上をジャンプして、駆け込み乗車をしたのはウサギの兄弟。
つり革で遊ぶ双子のチンパージに、つり革のフリをして、巻き付いているヘビに、
あみだなの上で寝ているワニさんに、キリンの車掌さんはチリンチリンと注意するのに
大忙しです。
電車の中いっぱいに羽を広げた孔雀さん。
他のお客様に迷惑になるので、羽を広げないでくださ~いとチリンチリンと
またベルがなる。
フラミンゴさんはどんなに電車内が揺れても、一本足できちんと立っている。
みんなウトウトと眠くなってきました。
どうぶつえんまえの駅に着いた頃、さっきまで電車内にいた動物たちは、
みんな人になっていました。あれれ?でもどこか動物に似ているような・・・
というファンタジーのようなお話です。
動物たちの特性、習慣をそのままに、電車に乗ったらどんなふうかな?という
視点で描かれた絵本で、親子でクスクス楽しく読むことができました。
動物たちの電車での過ごし方がまた、そのまま電車に乗るときの実際のルール、マナーに
直結していて、子どもも分かりやすく電車のマナーを知ることができます。
旅は旅の間も、帰る道筋も全部旅なんだと言うけれど、
まさにこの絵本も、動物園に行くまでに、もう動物園が始めっている
そんな楽しい電車の絵本になっています☆彡
《著者紹介》
文:大原悦子
新聞記者として17年働いた後、フリーランスに。2008年から大学教員。50歳を過ぎて初めて書いたお話『カタッポ』が福音館書店の創立60周年を記念した「絵本にしたいお話」に選ばれ、「こどものとも」(2014年1月号)として出版された。「そういえば、幼稚園児の頃の夢は絵本作家だった!」と思い出す。その後、「ケロリンピック」(福音館書店)も刊行。本作が絵本3作目。その他の著作に『フードバンクという挑戦ー貧困と飽食のあいだで』(岩波現代文庫)、『ローマの平日イタリアの休日』(コモンズ)がある。好きな動物は、もちろんキリン!
絵:村田エミコ
1969年東京生まれ。
好きなどうぶつはナマケモノ。好きなお弁当のおかずは玉子焼き(甘いほう)。
絵本の仕事に『つぎ、とまります』『プレゼントをかいに』『ちゅうちゅう ちゅちゅちゅ』(以上、福音館書店)、『そばやのまねきねこ』(岩崎書店)、『おふろおばけ』(大日本図書)、『よるのとこやさん』(フレーベル館)、『やまのバス』(佼成出版社)など多数。ほかに紙芝居など。年に数回、木版画の作品展を開催している。
※絵本より引用
【文:大原悦子 絵:村田エミコ 出版社:福音館書店】