全体的にオレンジ、黄色、緑のカラーで統一されたページは温かみがあって、
時間という無機質なものに、ぬくもりを与えてくれている。
この絵本の物語がとてもユーモアがあり、共感でき、
時間という概念がまだない子どもたちに、そっと寄り添ってくれる一冊です。
ヒギンスさんは、屋根裏部屋で、大きて立派な時計を見つけ、
ちゃんと時間があっているのか、調べようと、もうひとつ時計を買ってくることにしました。
その時計を寝室に置き、ちょうど3時でした。
屋根裏部屋にあがり、時計を確かめにいくと、時計は3時1分でした。
ヒギンスはどちらの時計が正しいのか分からず、またもう一つ時計を買うことにしました。
その時計は1階の台所に置くことにしました。時計は4時10分前でした。
ヒギンスさんはいそいで屋根裏部屋にかけのぼると、
時計は4時8分前をさしています。
いそいで寝室にいくと、4時7分前でした。
ヒギンスさんはどの時計が正しいのかさっぱりわからなくなり、
また一つ時計を買い、玄関に置きましたが、またすべての時計の時間がわずかずつ
ずれているようです。
困り果てたヒギンスさんは時計屋さんに飛び込み、部屋にあるすべての時計の
時間が違い、困っていると相談にいきました。
時計屋さんは、ヒギンスさんのおうちに行き、時計を確認してくれました。
持っていた懐中時計と照らし合わせ、4つの時計が置かれている部屋に行き、
確かめると・・・・なんとどの時計も時間はぴったり正確でした。
ヒギンスさんは自分が部屋を移動している間に、
時間が進んでいることに気が付かなかったのです。
そこでヒギンスさんは、また時計屋さんに行って、今度は首が下げられる懐中時計を
買いましたというお話です。
これは大人でも似たような失敗をすることがあり、苦笑いでしたが、
子どもはこのお話がとても気に入ったようで、何度も読んでいました☆
ヒギンスさんが移動している間に時間が変わったってことだよ~と説明すると、
ようやくそこで理解できたようでした。
時計がどんどん増えて、家中が時計だらけになっていくさながらが面白いようです!
時計の時間をただ読むというだけでなく、時間軸という概念を知るきっかけになる
絵本です(*^-^*)
今もこうして絵本を読んでいる時間も、刻々と移り変わり、
変化し続けている、ハッチンスがユーモアと一緒に
子どもに伝えたかった倫理が時とともに子どもたちの心に刻まれていきます。
《著者紹介》
作・絵:パット・ハッチンス
パット・ハッチンスは、イギリスのヨークシャーに生まれました。『田舎で生まれ育ったことが、私の作品にすごく影響を与えています』と、彼女は語っています。地方の美術専門学校を卒業してから、リーズ美術専門大学で学びました。「私は子どもだからといって、調子を下げるつもりはありません。ただ、物語が論理的にきちんとしていることを心がけています。」と、話しています。
※絵本より引用
【作・絵:パット・ハッチンス 訳:たなかのぶひこ 出版社:ほるぷ出版】