クレヨンにとっての幸せってなんだろう?
ルーカスという少年の元に新品のクレヨンたちは、期待に胸をふくらませ、
少しドキドキしながらいきました。
ルーカスは最初に黄緑のクレヨンを取り出し、白い紙に草を描き、
茶色のクレヨンと一緒に大きな木を描きました。
ピンクのクレヨンで、枝にお花も咲かせました。
3本のクレヨンは少し短くなって箱の中に帰ってきました。
でも、みんなとても嬉しそうです。
季節が夏になると、ルーカスは白い紙に、
水色のクレヨンで海を描き、青色のクレヨンでボートを描きました。
つかわれたクレヨンたちは少し短くなって、やはりうれしそうな顔をしています。
秋になるとたくさんのクレヨンをつかってハロウィンの絵を描きました。
そのあともルーカスはたくさんの絵を描き、みんなとても短くなりました。
しかし、だた一人、白色のクレヨンは一度も使われることはありませんでした。
冬になる頃には、みんな白以外のクレヨンは、すっかり短くなってしまい、
ルーカスは新しいクレヨンを欲しがりました。
もう古くなったクレヨンたちは、フリーマーケットに出品されることに、
しかし、なかなか売れません。
売れなかったら捨てることになっています。
クレヨンたちはとても悲しく、不安な気持ちになりました。
そのときエマという少女が、クレヨンの箱を見つけ、私のほしかったクレヨンがある!
といって持ちかえりました。
エマは白い色のクレヨンで真っ白な紙に、絵を描き、その上を絵具で塗ると、
白いクレヨンが絵具をはじき、画用紙に白い線が浮かび上がりました。
エマが空を描けば、白いクレヨンは星になり、
海を描けば、くらげになり、魚になり、水の中の泡になり、
森を描けば、ユニコーンになりました。
そして雪が降った日、白いクレヨンはたくさん使われました。
あたり一面雪景色です。白いクレヨンは短くなりましたが、
とっても幸せそうでしたというお話です☆彡
クレヨンの中では、一番出番が少ない白色が、主役になったお話。
子どもは、白色のクレヨンは絵具と一緒に描くと、
ちゃんと見えるんだね~と発見し、さっそくやってみたい!と大喜びでした。
色画用紙に描けば、絵具がなくても、絵が描けることも知り、
他のクレヨンを描いた後に、白色を重ねて塗ると、柔和なパステル調の
色に変化したり、白色が我が家でも大活躍し、しあわせなクレヨンになりました☆
少し視点を変えたり、工夫すると、どの色も活躍できる、
互いの個性を生かすことができることをクレヨンを通して教えてくれる一冊です☆
【作・絵:丸山陽子 出版社:BL出版】