ミリーは学校の帰り、帽子屋さんの前を通りかかると、ウィンドウに飾られている、
羽のついた大きな帽子が気に入って、帽子が欲しくなりお店の中へ。
でも帽子を買うにはお金が足りないようです。
もっと安いのはありますか?とお店の人に尋ねると・・・
お店の人は天井を見上げて、なにやら真剣に考えています。
すると、ひとついい帽子がありますと、帽子の入った箱を持ってきて、
特別な帽子で、大きさも、形も、色も自由自在。
想像の帽子をミリーに売ってくれました。
ミリーはその帽子がとても気に入り、帽子をさっそく被って外へ。
鳥たちが歩く歩道では、帽子は大きな色鮮やかな羽を広げたクジャクの帽子になり、
ケーキ屋さんの前を通るときには、たくさんの美味しいホールケーキを積み重ねた帽子になり、
花屋さんの前を通るときには、花束の帽子になりました。
公園を歩くと、噴水の帽子になり、
ミリーはふと辺りを見渡すと、想像の帽子を被っているのは自分だけじゃなく、
みんな被っているんだと気が付きました。
小さな男の子は車のおもちゃの帽子、その横の男の子はヨットの帽子。
恐竜の帽子や、教会の帽子をかぶった牧師さんや、楽器を背負った学生の頭には、
みんなそれぞれに、想い想いの帽子を被っています。
ミリーが歌えば、帽子も一緒に歌います。
ミリーが踊れば、帽子も一緒にダンスします。
みんな持っているすてきな想像の帽子のお話です!
子どもの想像力を引き出してくれる一冊です(*^-^*)
想像は無限に広がり、どこまでも自由な世界が広がる。
時には自分を幸せにしてくれるし、励ましてくれる。
ミリーはお金では買えない、想像というかけがえのないものを手に入れました。
そして、それはみんなが持てる、素敵なものです。
《著者紹介》
作:きたむらさとし
1956年東京生まれ。1979年にイギリスに渡り、数年後より絵本を作り始めた。ハーウィン・オウム氏とコンビでつくった『ぼくはおこった』(評論社)でマザーグース賞、絵本にっぽん賞特別賞を受賞。作品に『やねうら』(文/コリン・マクノートン 訳/柴田元幸)『いっしょにあそぼ!』(ともに小峰書店)、『動物たちの謝肉祭』(詩/エイドリアン・ミッチェルほか 訳/四元康祐)『スートン・エイジ・ボーイ』(以上 BL出版)など多数。ロンドン在住。
※絵本より引用