★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

きしゃのゆ

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新米の機関車ごうたは、迷子になってしまい、

 

もくもくとゆげが立ち上る方角を目印に、進むと、

 

そこは仲間の機関車ではなく、大きな汽車の銭湯でした。

 

おそるおそる中に入っていくと、先輩機関車がお出迎えしてくれ、

 

銭湯の入り方を丁寧に教えてくれます。

 

銭湯の中はたくさんの線路が張り巡らされており、脱衣所には転車台もあるので、

 

縦横無尽に移動ができます。

 

ロッカーに炭水車とスコップを預けると、

 

次は洗い場で体のよごれをよく洗って流します。

 

前にあるハンドルを回せば、上からシャワーが。

 

ブラシでボイラーのすすを払い、キレイに流して、

 

最後に上にあるつりかわをひっぱると・・・・

 

線路が持ち上がって、下からもシャワー。これで車輪もピカピカになりました。

 

さぁ湯舟に入ろう。

 

おっと線路がゆぶねの途中で切れています。

 

怖がらないでも大丈夫、そのまま進むと、

 

車体は湯舟の中でプカプカと浮きました。

 

湯舟の後ろには、大きな路線図が描かれています。

 

これをよく記憶して、今度こそ迷わないように。

 

お風呂上りの楽しみは、よく冷えたオイルミルク!

 

みんなで乾杯。

 

機関車が銭湯に行くというありそうでなかった、斬新なお話。

 

そして今ではなかなか味わえなくなった、裸の付き合い。

 

先輩機関車との、人情味あふれるお付き合いが、なんとも懐かしいような。

 

ところどころシャワーのとってが、機関車の運転席のハンドルのようだったり、

 

つりかわだったりと、牛乳じゃなくて、オイルミルクだったり、

 

富士山じゃなく、路線図だったり、絵のすみずみまで見て楽しい絵本です。

 

味わい深い絵のタッチが、どこか懐かしさと、あたたかみを与えてくれます。

 

ほっこりとすっきりしたような、読了感に包まれます。

 

【作:尾崎玄一郎、尾崎由紀奈 出版社:福音館書店