団地やマンションに囲まれた公園の中に黄色い本物の電車があります。
その中には、子どもたちの好きな絵本や図鑑がいっぱい。
釣り革も、座席も、運転席も、釣り革広告もそのままに残してあり、
窓から見える景色は、車窓です。
お散歩をしている幼稚園の子と先生や、
近所に住むお母さんと子どもたちの憩いの場になっています。
車内の一番うしろには、読み聞かせの大きなお部屋があったり、
運転席ですっかり運転手さんになっている子どもたちもいます。
昔この電車図書館は、本当に電車として走っていて、
毎日たくさんの人を乗せて線路を走っていました。
古くなって走れなくなったときに、捨ててしまうのはもったいないと、
鉄道会社の人たちと相談して、図書館として生まれ変わりました。
地域のボランティアの方が集まって、本の貸し出しや、破れてしまった本の補修、
座席が古くなって、破れそうな場所にはクッションを置いたり、
車内をそうじしたり、ペンキできれいに塗り直したりして、
子どもからお年寄りまで、地域の人たちみんなで、大切にされてきた電車図書館です。
春、桜の季節には、1年に一度の図書館まつりも開催されます。
このお話は、東京都東村山市の美住町の小さな公園の中にある、
『くめがわ電車図書館』をもとに書かれている実在する図書館のお話です。
子どもは読み終わったあと、実際に電車図書館があるとわかり、
行ってみたい!と目を輝かせて喜んでいました。
車両は西武鉄道で走っていたもので、社内には路線図も残されています。
本が好きな子どものほかにも、大人の鉄道ファンにも大人気の図書館だそうです。
公園にある遊具の電車でも大喜びなのに、本物の電車があって、中にも入れて、
絵本がいっぱいなんて、子どもにとってはパラダイスですね!
いつか行ってみたいです(*^-^*)
《著者紹介》
文:深山さくら(みやまさくら)
山形県生まれ。絵本と童話の作家。子どもたちの心にほのぼの色の花を咲かせたい。
山形に「ものがたり工房」を構え、東京との2拠点で活動中。『かえるのじいさまとあめんぼおはな』(教育画劇)で第19回ひろすけ童話賞受賞。主な作品に、『大好き!おじさん文庫』(文研出版)、『かかしのじいさん』『子ザルのみわちゃんとうり坊』(佼成出版社)、『年中行事のお話55』(チャイルド本社)、『ぼくのつばめ絵日記』
(フレーベル館)など多数。
絵:はせがわ かこ
東京都生まれ。絵本の創作や児童書の挿絵を手がける。
主な絵本に、『じゅんばんこ!』(作・季巳明代、フレーベル館)、『ナナコのキッチンガーデン』(講談社)、『102ひきのねずみ』(金の星社)。児童書の挿絵に『鬼まつりの夜』(作・富安陽子/講談社)、『のんちゃんのモンシロチョウ』(作・西村友里、PHP研究所)、『どろだんごさいた』(作・中住千春/フレーベル館)など多数。引退したアイメイト(盲導犬)の飼育奉仕者としてラブラドール・レトリバーと暮らす。
※絵本より引用
【文:深山さくら 絵:はせがわかこ 出版社:文研出版】