ねずみのとうさんが、7人のねずみの兄弟に、
それぞれ一つずつ寝る前のおはなしをしてくれるお話です。
1人に1話、合計で7つのお話をしてくれる素敵なお父さん。
特に好きなお話は「くもとこども」。
空に浮かぶ雲が、色んな形に見えてくるねずみの子のお話。
空の模様が刻々と時間とともに変化していく。
雲は、時にお城や、うさぎ、ねずみに姿を変えていく。お母さんが花摘みにちょっと、
子どもの側を離れると、空に突然大きなネコが。
ねずみの子はたまらなくなって、「たすけて!」と言ってお母さんの側へ駆けだした。
空を見上げると、ねこはいなくなっていて、大きな空が広がっていましたというお話。
空の雲が色んな形に見える発見と、お母さんが側から離れたときに、
そこにあった雲の形や影の形、風の音が急に不安なものに変わる心境に共感。
「のっぽくんとちびくん」というお話は、お互いの身長の高さが違うので、
目線の高さも変わり、それによって見える世界が違ってくる。
同じ場所、同じ時間を共有しながら、互いの目に飛び込んでくる世界は、
少しずつ違っている。
一緒に散歩をしていれば、のっぽくんは空を飛ぶ鳥にあいさつをするし、
ちびくんは、地面を歩くアリとあいさつをかわす。
急な雨が降って来て、のっぽくんは雨粒にあいさつをし、
ちびくんは、地面の水たまりにあいさつをする。
急いで家の中へ入ると、窓辺に近づいた二人。
のっぽくんは、ちびくんを抱きかかえると、
一緒に空にかかった虹をみましたというお話。
他にも「だいりょうこう」はお母さんに会いに行く、ねずみの子のお話ですが、
ユーモアとシュールを持ち合わせた絶妙なお話で、
最後はどんな結末が待っているのだろうとドキドキしていると、
お母さんの息子への愛情あふれるお話で締めくくられていて、とっても不思議な読了感。
7つのお話をしたあと、ねずみの子たちはぐっすりと夢の世界へ。
ねずみのとうさんの、子どもたちへの深い愛情と、楽しいお話が、
7つの短編集絵本となって読むことができます(*^-^*)
平仮名で書かれているので、幼児から小学生低学年の一人で読む絵本に最適です!
【作・絵:アーノルド・ローベル 訳:三木卓 出版社:文化出版局】