最近、新しい町へ引っ越してきたばかりのかなえ。
お友達もいないし、お店や、町、通りすがりの人、みんな知らない景色です。
お父さんもお母さんも荷ほどきに忙しく、一人で遊ぶかなえ。
そんな時、玄関のポストに『こんことり』という音が聞こえてきた。
郵便屋さんだと思い、玄関に行くと、
すみれの小さな花束があった。
その次の日も、また次の日も、『こんことり』という音ともに、
タンポポ、手紙、折り紙の人形が入っていました。
かなえは自分宛だと思い、『こんことり』と鳴った4日目に、
ちょっと待って! と叫びながら外に出ると、同じ歳ぐらいの女の子が経っていました。
その女の子がすみれやたんぽぽやお手紙をくれたことがわかりました。
女の子はモジモジと下を向きながら、小さな声で、『いっしょに、あそうぼう』と声をかけ、
かなえは新しい町で、新しい友達ができました。
子どものちょっとした勇気、優しさで、新しい出会いが生まれる。
声をかける側も、ドキドキ、お友達になってくれるかな?お友達になりたいな。
と不安と期待が入り混じる子どもの心の動きが、丁寧に描かれています。
どちらも恥ずかしそうに、目線を合わせられず対峙する姿が微笑ましい。
その後すぐに笑顔で遊び始める、子どもの逞しさと、力強さに、
大人も読んでいて、心が温まり、元気を与えてもらえる一冊です。
もうすぐ4月出会いと、別れの季節にぴったりの絵本です(*^^)v
《著者紹介》
作:筒井頼子
1945年、東京に生まれる。埼玉県浦和西高等学校卒業。
童話に『ひさしの村』『いく子の町』(現在品切れ)、絵本に本書のほか、『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』『ながれぼしをひろいに』『おでかけのまえに』『おいていかないで』(以上福音館書店)などがある。宮城県在住。
絵:林明子(はやしあきこ)
1945年、東京に生まれる。横浜国立大学教育学部美術科卒業。
『かみのひこうき』が初めての絵本。筒井頼子さんとの絵本のほかに、『ぼくのぱん わたしのぱん』『きょうはなんのひ?』『おふろだいすき』『はっぱのおうち』『10までかぞえられるこやぎ』、自作の絵本に『まほうのえのぐ』『こんとあき』『くつくつあるけのほん(全4冊)』『クリスマスの三つのおくりもの(全3冊)』『でてこい でてこい』、幼年童話に『はじめてのキャンプ』がある。挿絵に『魔女の宅急便』『なないろ山のひみつ』(以上福音館書店)がある。長野県在住。
※絵本より引用
【作:筒井頼子 絵:林 明子 出版社:福音館書店】