おじいさんと、おばあさんは、2人の生活では寂しかったので、
猫が一匹いたらと考えました。
そこでおじいさんがきれいな猫を探しに出かけました。
すると猫がたくさんいる丘にたどり着き、その中で1番綺麗な猫を選ぶのですが、
1匹を選ぶつもりが、数はどんどんと増えていき、
100匹、1000匹、百万匹、1億匹、千兆匹になりました。
おばあさんの待つ家へ千兆匹の猫を引き連れて家路を急ぎます。
途中猫たちは喉がかわいたと言い、池の水がからっぽになり、
お腹が空いたと言い、草むらの草が全部なくなりました。
ようやくおばあさんの元に戻ると、
おばあさんもあまりの猫の多さにびっくり。全員を育てるのは無理だと言い、
猫にだれが一番綺麗な猫か決めてもらうことにしましたが、
しかし、みんな自分が一番きれいだと思っており、猫同士は争い、喧嘩を始めました。
その騒ぎが静まったころ、おじいさんが外に出てみると、
あんなにたくさんいた猫は姿を消し、一匹も残りませんでした。
すると草むらから、体ががりがりで、
お世辞にも綺麗とは言えないやせた小さな猫が一匹、震えていました。
おじいさんは抱きかかえると、家の連れて帰り、お風呂にいれてやりました。
その猫は、さっきおじいさんに綺麗な猫は?と言われた時に、手をあげませんでした。
自分はただのみっともない猫だと思っていたからです。
夫婦はその猫にたくさんミルクをやり、日ごとにふっくらとして、
見事なきれいな猫になりましたというお話。
大人が読んでいると、あんなにたくさんの猫を人間の勝手で持ちかえったのに、
飼えないからと、猫を結果的に喧嘩させてしまって、
傷つけてしまった悲しい物語にも感じ、
最後に一匹の猫が幸せにその後暮らせていても、
ハッピーエンドに感じられなかったんですが、
子どもはというと、この物語は面白いようで、
まず1匹、100匹、千匹、100万匹、1億匹、一兆匹とどんどん猫が増えていくのが、
面白く、このリズムが繰り返されるたびに大笑い。
そして1匹の猫を選べないおじいさんに爆笑。
そのあとおばあさんに、怒られるおじいさんにも大笑い。
猫が喧嘩してしまって一匹になってしまうことも、さほど気にもとめておらず、
子どもの心を掴む絵本なのだと思います。
私が子どもの頃に読んでいたら、どんな感想を持つのか、興味深い絵本でした。
中の絵はモノトーンで構成されていて、味わい深い絵です。
たくさんの猫の絵は圧巻です笑
【文・絵:ワンダ・ガアグ 訳:いしいももこ 出版社:福音館書店】