★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ちょっとまってて!

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カンガルーの子は、ママに洋服が上手く着れなくて助けて欲しいとき、

 

パパに上手に出来た積み木を見せたいとき、

 

一緒に遊んで欲しいとき、

 

先生に、自分の描いた花の絵の上に、ちょうちょが止まって見て欲しいとき、

 

『ねぇみてみて!』と声をかけると、『ちょっとまってて!』と言われる。

 

カンガルーの親子の日常は、そのまま私たちの日常だ。

 

子どもがみてみて!と話しかけてくるとき、毎回応えられるわけではない。

 

『ちょっとまって!』と何度言ってしまったことだろう。

 

物語の中盤では、旅行に出かけたカンガルーの親子。

 

夜明けに目を覚ましたカンガルーの子が、家族みんなを起こしてみるも、

 

『もうちょっと、ねてる』と言われ、

 

カンガルーの子はひとりで美しい日の出をみます。

 

”よのなかには、いちばんいいとこ、みのがすひとも、いるのね”

 

この一言にはドキリ。

 

子どもの一瞬一瞬の笑顔だったり、成長だったり、子どもの見ている世界をみたり、

 

共有する機会を失ってきたのかもしれないと思いました。

 

大人が思っている以上に、子どもの『みてみて!』という時間は短いのかもしれない。

 

物語の後半では、今度はカンガルーの子がはやくしなさいと急かす大人に、

 

『ちょっとまって!』という番。

 

ここも思わず読んでいて反省してしまう。

 

子どもが夢中になっていることを、大人の都合や時間の都合で、

 

途中で終わらせてしまってはいないか?

 

なんて大人は勝手な生きものなのだろうと我にかえりました。

 

一番最後のページは『もうちょっと!』という気持ちを家族全員ぴったり合う時を

 

カンガルーの子が発見します。それは美味しそうなホールケーキを取り分ける時。

 

ユーモアたっぷりの最後に、ようやくホッと心をなでおろしました笑

 

子どもも大人も一緒に共感できる素敵なお話です。

 

【文:アニタ・ハーパー 絵:スーザン・ヘラルド 訳:小川仁央 出版:評論社】