子ども向けに描かれた絵本なのに、大人が読んでいてとても楽しいお話でした。
こういう切り口の絵本はめずらしいような・・・
子どもはこの絵本を読んでどんな感想を持つのか、とても興味深いです。
街中の公園の中にあるベンチに置かれていたサンドイッチを食べた犯人はだれ?
最初から終盤まではクマのお話。クマは本当に存在したのか?
これは本当の話なのか?最後まで読んだときに、語っていたらのは犬であることがわかり、
最後のページで少し混乱して、どこからどこまでクマ?いつ犬になった?
と思わずページを遡ってしましました笑
最後のページの犬の懸命な言い訳は、
サンドイッチを食べられてしまった女の子の怒りも、吹っ飛んでしまいそうです。
思いがけない結末に、くすくすとおかしく、楽しい気持ちになりました。
森から町まで出てきたクマさんの話も、ありえないようで、
本当にありそうなお話で、公園の遊具で遊ぶクマや、
町をものめずらしそうに闊歩するクマの姿を遠くから見てみたいなと思いました。
油絵で描かれたクマも、犬の表情も、心情が表現されていて、
とても愛らしいです。最後女の子の前で全力で言い訳している犬への、
女の子の視線がやさしくて、しょうがないなと許してくれているように見えます。
クマさんだって、きっとサンドイッチは美味しいだろうな~。
子どもが少し口が達者になって、ウソや、屁理屈を言っている姿と重なりました。
この絵本は、そんな日常が少し可愛らしく思える一冊です☆
《著者紹介》
作:ジュリア・サーコーン=ローチ
アメリカ、ニューヨーク市ブルックリン在住。学生時代にアニメーションを学び、制作した短編作品Call of the Wild が世界じゅうで上映され評判を呼ぶ。2009年、Incredible Inventionsで絵本作家デビュー。4作目となる本書は2016年、絵本作家に贈られるエズラ・ジャック・キーツ賞の次点に選ばれている。そのほか書籍の挿絵も担当。2016年に
Excellent Ed(文:Stacy McAnulty)が刊行されている。ブルックリンで生活しているとさまざまな野生動物に出会えるものの、クマにはまだ会っていないという。
訳:横山和江(よこやまかずえ)
埼玉県生まれ、山形県在住。児童書の翻訳のほか、読み聞かせの活動なども行う。訳書に『サンタの最後のおくりもの』(徳間書店)、「クマさんのおことわり」シリーズ(岩崎書店)、『わたしの心のなか』(鈴木出版)、『サラとダックン』シリーズ(金の星社)、『14番目の金魚』(講談社)、『300年まえから伝わる とびきり おいしいデザート』(あすなろ書房)などがある。本物のクマには会いたくないけれど、絵本のクマとは仲良しである。2017年に20周年を迎えた海外児童書サークル「やまねこ翻訳クラブ」会員。
※絵本より引用
【作:ジュリア・サーコーン=ローチ 訳:横山和江 出版社:エンジョイ エフ】