くすのきだんちシリーズの中の一冊。
今回はくすのきだんちの隣に、小さなお隣さんが越してきました。
靴の中に住んでいたのは、2匹のコオロギさん。
リリリリーコロコロと綺麗な鳴き声を響かせて、くすのきだんちの住人たちは、
越してきた小さなおとなりさんが気になって、かわるがわる話しかけますが、
人見知りのようです。
靴の家には屋根がなく、団地に住む大工さんが、
雨に濡れないように屋根を付けました。
リスのコックさんは、おやつにスイカを届けたり、みんな新しい仲間ができて、
うれしそう。つかず離れずの関係で、みんな優しくそれぞれを見守っています。
そんなある日、おとなりさんが家ごといなくなってしまって、
くすのきだんちの住人は心配していると、
とかげさん2匹がやってきて、靴は僕たちがボートに使ったよと。
コオロギさんたちは元いた場所へ送っていったよと教えてくれました。
夜になると、くすのきだんちの周りの草原からは、たくさんの虫たちの美しい鳴き声が
あちらこちらから響き渡り、まるでたくさんのおとなりさんが出来たよう。
なかなか近年はお隣さんはいるけれど、お話をしたり、交流したりが少なくなって
きました。”おとなりさん”という響きはもう懐かしい過去のものになりつつあり、
あいさつや、その日のお天気のお話や、そんな些細な会話を交わすだけで、
ホッと安心できるような気がします。
時にはお節介してみたり、助けてもらったり、持ちつ持たれつの関係で、
地域全体でお年寄りに声をかけたり、
子どもたちを育てていける世の中になったらなぁと、
思いを馳せながら読み聞かせしました☆彡
《著者紹介》
作:武鹿悦子(ぶしかえつこ)
1928年、東京都生まれ。作品に『詩集・たけのこぐん!』(岩崎書店)、「くすのきだんち」シリーズ(ひかりのくに)他多数。2011年に第50回児童文化功労賞受賞、絵本『ぴっつんつん』(くもん出版)のフランス版が、「ナンテール市乳幼児読者賞2013」
を受賞。2014年に詩集『星』(岩崎書店)により第54回日本児童文学者協会賞・第144回日本童謡賞、2016年童謡文化など受賞多数。
絵:末崎茂樹(すえざき しげき)
1948年、大阪府生まれ。作品に「わんぱくだん」シリーズ・「やまねこせんせい」シリーズ・『おーいおばけ』(ひさかたチャイルド)、『おべんとう なあに?』(偕成社)、『ふるるるる』・『ねこなんてだいきらい!』(フレーベル館)、『くすのきだんち』シリーズ(ひかりのくに)他多数。
※絵本より引用
【作:武鹿悦子 絵:末崎茂樹 出版社:ひかりのくに】