イザベルとエリー大の仲よし。
お互いのおうちを行き来し、いつもドールハウスでお人形遊びするのが楽しみです。
エリーは赤い屋根の三階建てのドールハウスを持っています。
家具や装飾もすばらしくて、イザベルはその中でもお部屋の壁に飾っている金のおさらが、
あまりに綺麗で、よくわからないうちに、金のおさらをドールハウスがはずし、
自分のポケットにいれてしまいました。
その日イザベルは家までの帰り道、とても足が重くて、
ポケットに入った小さな金のおさらが、ずっしり重く感じました。
家に着くと、おさらはもっと重くなりました。
自分の家にあるドールハウスの壁に飾ってみましたが、全然素敵に見えません。
おさらをベッドの枕の下に隠しました。
夜ごはんも食欲がなく、あまり食べられませんでした。
ベッドに入ってからも、おさらの事が気になって寝付けませんでした。
次の日、お庭の野菜畑に穴をほり、金のおさらをうめました。
ひまわりが太陽の光で金色に輝き、まるで睨まれているみたい。
たまらなくなったイザベルはお母さんにごめんなさいと何度も謝り、
金のおさらの話をしました。
『金のおさらはエリーのものだから、ちゃんと返さないとね。』と言われ、
イザベルはエリーのおうちへ向かいました。
足が重くてしかたがありません。
エリーのおうちに着くと、お母さんが先に電話で話をしてくれていたので、
エリーとエリーのお母さんが玄関の外に出て、出迎えてくれました。
エリーはそのお皿あげるよと言いましたが、
イザベルはごめんなさい。勝手に持って帰ってしまって。これはエリーのお皿だから。
そして、金のおさらを元に戻すと、
二人はいつものようにドールハウスで夕方まで仲良く遊びました。
イザベルはほっとしました。
そしてイザベルの誕生日の日、お父さんとお母さんはドールハウスにピアノや、
芝生、赤い屋根をプレゼントしました。
エリーも小さな小さな箱に入ったプレゼントをくれました。
中を開けると、エリーとお揃いの金のおさらが入っていましたというお話。
女の子の繊細な気持ちが、美しい絵で表現されています。
お友達と同じものに憧れ、時には羨ましくなり、欲しくなり、
悪いことをしてしまった時の、後悔の気持ち。
大切なものを失ってしまう不安。
あんなに素敵に見えたものが、急に色あせて見える。
ドキドキしながら読みましたが、最後ちゃんとお友達にも正直に話して、
謝る事ができてホッとしました。
【作:バーナデット・ワッツ 訳:福本友美子 出版社:BL出版】