毎日何も起こらないと退屈していたカラスたち。
そこへ見たこともないような、色とりどりの鳥が目も前に現れた。
カラスたちは物珍しそうに、カラフルな鳥の周りを囲んだ。
元気がないカラスたちに、いろとりどりは、
幸せに理由なんてないさ!と一緒に歌って踊ろう!と提案します。
カラスたちは初めはなんで幸せにならないといけないのか?
歌うっていっても、カァーとしか鳴けないし、踊り方もわからないと
口々に漏らします。
なんだか不安そうなカラスたちを前に、いろとりどりは、
カラフルな羽を広げて、歌いだす、踊り出す。
クルカァー、クルカァー、踊るカァー、歌うカァーと陽気に歌い出し、
踊り出す。
しだいにカラスたちも、楽しい気持ちになってきて、ステップを踏み、
クルカァークルカァー、前からクルカァー、後ろからクルカァーと歌い出す。
いろとりどりはカラスたちに少しずつ自分のカラフルな羽をプレゼントし、
一緒に楽しく踊りました。
すると、カラスたちの目は輝きだし、生きる喜び、楽しみに溢れます。
カラスたちはいろとりどりに『君のおかげだ!』とお礼を言いました。
すると、ボクのおかげなんかじゃないよ!こうしたのはキミたち自身だよ。
幸せになることに理由なんていらないんだ。と言って自分の島に帰っていきました。
何かが、誰かが、幸せにしてくれるのではなく、
幸せは常に自分の中にあるもの。
愛もだれかがくれるものではない。
いつも自分の内側から溢れて来るもの。
だから枯れることはない。
そこに気が付くことが出来たら、私たちはいつも幸せでいられるのかもしれません。
色とりどりの人生を、自分色で生きていこうというメッセージが込められています☆彡
《著者紹介》
作:マーカス・フィスター
1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。おもな作品に「ペンギンビート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろのさかな」シリーズなどがある。1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろのさかな』をはじめとする「にじいろのさかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。
訳:谷川俊太郎
1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。1952年、第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。1962年に『月火水木金土日の歌』で日本レコード大賞作詞賞、1975年年に『マザー・グースのうた』(草思社)で日本翻訳文化賞、1982年に『日々の地図』(集英社)で読売文学賞、1988年に『はだか』(筑摩書房)で野間児童文芸賞、1993年に『世間知らず』(思潮社)で萩原朔太郎賞、2010年に『トロムソコラージュ』(新潮社)で鮎川信夫賞などを受賞。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表。絵本の翻訳作品には、「にじいろのさかな」シリーズ(作/マーカス・フィスター 講談社)、『スイミー』(作/レオ・レオニ 好学社)などがある。
※絵本より引用
【作:マーカス・フィスター 訳:谷川俊太郎 出版社:講談社】