せなけいこさんのうさぎさんシリーズ。
今回はとてもくいしんぼうなうさぎさんのお話。
体は小さくてかわいいけど、とっても食いしん坊。
なんでもパクパク。ぞうさんよりもよく食べる。
ごちそうがあるところなら、どこへでも行って、みんな食べてしまいます。
お友達もあきれてしまって、どこのおうちにもお呼ばれしなくなってしまったうさぎさん。
なぁちゃんはかわいそうに思い、自分のおうちに招待しました。
うさぎさんの大好きなにんじんケーキに、ドーナッツやクッキーをたくさん用意して、
うさぎさんも大喜び。
口の大きなカバさんよりも、体が大きなゾウさんよりも、
たっくさん食べました。
するとみるみる体がふくれあがって、大きな風船のようになりました。
なぁちゃんに『ごちそうさま』とお礼を言い、家に帰ろうとしましたが、
外に出た途端、ずんずん ずんずんと、土の中に埋まっていきます。
うさぎさんどうやら、体が重くなってしまって、地面にすっぽり埋まってしまいました。
どんどん深く深く沈み、ついに地球の裏側に足が2本ニョキ。
そこに現れた地球の裏側の外国の人がウサギさんを引っ張り上げました。
まるで地面からうさぎが生えたようです。
おうちに帰りたいと泣き出したうさぎさんに、みんな心配しました。
どうやって帰ろうかうさぎさんは考えました。
大きな風船にひっぱってもらうとか?
船で海を渡る?
それとも鳥さんに運んでもらう?
凧あげしてもらう?
そうだ!またいっぱい食べて、出てきた穴に埋まれば、またもとに戻れるかも。
うさぎさんは優しい国の人にたくさんの異国料理を作ってもらい、
たっくさん食べました。
見事に膨れ上がったうさぎさんは、また元の穴に沈んで、
みなさんにお礼をいって、
ずんずん ずんずんと、地球の裏側へ。
なぁちゃんが毎日うさぎさんの帰りを待っててくれています。
発想がすごく面白くて、子どもがとても喜びました。
いっぱい食べて体がむくむくと大きくなっていく姿や、
地面ににょっきとうさぎの耳だけが出ている絵は、とてもユニークです。
地球の裏側へ、船でもなく、飛行機でもなく、こんな最短距離での行き方があったなんて笑
そしてなぁちゃん、地球の裏側の外国の人の、優しさが生んだ奇跡のような物語です。
優しさと美味しさがぎゅっと詰まった一冊です(*^-^*)
《著者紹介》
作:せなけいこ
東京に生まれる。モダンな作風で知られる画家の武井武雄氏に師事し、絵本の世界に入る。1970年に、「いやだいやだの絵本」(福音館書店)でサンケイ児童出版文化賞を受賞。絵本作家として独自のスタイルを確立する。ユーモアあふれる貼り絵で、おとなから子どもまで幅広い層に支持されている。作品に、『めがねうさぎ』『おばけのてんぷら』『めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス』『おひさまとおつきさまのけんか』『9ひきのうさぎ』(以上ポプラ社)、『おおかみのでんわ』(金の星社)、『ねこのかぞえうた』(すずき出版)、「あーんあんの絵本」(福音館書店)、「せなけいこ・おばけえほん」(童心社)他多数がある。
※絵本より引用