2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが、
手がけた自伝絵本です。子どもにも分かりやすい言葉で描かれています。
マララさんが、なぜ女性の教育に関心を持ち、活動するに至ったのか、
パキスタンの小さな村で過ごしていた普通の女の子が、どのように自分の言葉を発信し、
世界を変えたかの真実の物語です。
”「あなたはまほうを信じますか?」”という言葉から始まります。
何でも叶えてくれる魔法の鉛筆があったら何を祈るだろう。
ある日、マララさんが、ゴミ捨て場にゴミを捨てにいくと、そこには、
自分と同じぐらいの年齢の子供たちがいました。
女の子はゴミの中から瓶を拾い、男の子は金属を探しています。
その夜お父さんにゴミ捨て場であった子どもたちの話をすると、
お父さんは、この国では全員が教育を受けれるわけではないこと、
子どもたちがお金を稼いで、家族の生活を支えている子がいることを話してくれました。
お父さんにはいつも自由に生きなさいと言われていたマララさんは考えました。
学校へ行きたくても行けない子のこと。食べ物がない子のこと。そして自分の事も。
マララさんはそれからいっぱい勉強しました。
自分の国や、世界のことをもっと学びたいと思いました。
そのころから外は武器を持った男の人たちが、女は外に出るな。
女の子を学校へ行かせるなと言いだしました。
学びたいのに、武器を持った男たちが怖くて学べない町の現状を、
世界の人にもっと知ってもらいたいと考えるようになりました。
このままじゃ何も変わらない。誰かが声を上げなくちゃ。
”だれかじゃなくて、わたし?”
町の現状を新聞やインターネットに書き始めました。
人前に立って話すことも始めました。
少しずつ世界の人が町の現状を知ってくれるようになりました。
そんなマララさんの活動をよく思わない人が、ある日マララさんを銃で撃ちます。
奇跡的に一命をとりとめたマララさん。
マララさんの報道が世界中に流れると、今度はたくさんの人が応援し、
一緒に声をあげ始めました。
魔法はきっとあなたの自身の中にあり、小さな声でも、上げ続ければ、
言葉は世界に広がって、少しずつ世界は変化していくこと。
誰かが声を上げるのを待つんじゃなくて、自分というフィルターを通して、
感じて、考え、判断し、行動にうつす力を養う大切さを教えてくれる1冊です。
《著者紹介》
作:マララ・ユスフザイ
教育・人権活動家。国連ピース・メッセンジャー。パキスタン北部の山岳地帯スワート渓谷に生まれる。11歳のとき、イギリスBBC放送のウルドゥー語ブログに、グル・マカイ(矢車菊)というペンネームを用いて、タリバン政権下での生活をつづった日記を投稿した。女の子の学ぶ権利を訴えるこのブログが人々の共感を呼び、注目を集める。2012年10月、スクールバスでの下校途中にタリバンから銃撃を受けたが、奇跡的に一命をとりとめ、その後も教育のための活動を続ける。その勇気と主張が評価され、第1回パキスタン国民平和賞、国際子ども平和賞、アムネスティ・インターナショナル「良心の大使賞」を受賞。2014年には、17歳にして史上最年少となるノーベル平和賞を受賞した。
絵:キャラスクエット
夫セバスチャンと妻マリーによるイラストレーターユニット。パリ在住。マンガやイラストレーションの分野において国内外で活躍中。
訳:木坂涼(きさかりょう)
詩人、児童文芸作家、翻訳家。詩集、エッセイ集のほか、絵本の創作や翻訳も多数手がけている。主な訳書に『ちょっとだけまいご』『しーっ!』(ともにBL出版)、『ヨセフのだいじなコート』(フレーベル館)、『どこにいるかわかるかな?』『そっくりさん、どこにいるかわかるかな?』(ともにポプラ社)などがある。
※絵本より引用
【作:マララ・ユスフザイ 絵:キャラスクエット 訳:木坂涼 出版社:ポプラ社】