表紙からもう素敵なものがいくつも重なり合って奥行きがあり、きれいで
うっとりとします。
『のせのせせーの!』という合言葉を唱えると、不思議な情景が浮かびます。
女の子の髪の毛に蝶々がのれば、素敵な髪飾りに変身し、
白いワンピースの上に、丘の花畑をのせれば、華やかな花柄ワンピースになります。
赤い実をつけた大きな木が白い鳥にのれば、見事な孔雀に変身。
夏の砂浜、ソフトクリームがカニにのると、キレイなヤドカリに変身。
青いビーチボールに、牛さんの模様をのせたら、地球儀の模様。
あれれ牛さんは、真っ白になっちゃいました。
寝室に宇宙をのせれば、どんな情景が浮かび上がるでしょうか?
何かと何かが一緒になったら、どんな世界が生まれるかな?と
想像を膨らませながら読み進めるのがとっても楽しい絵本です。
また何かにのせたあと、残った方はどんなふうになるのかな?
とのせたほうだけなく、失った方の変化もまた想像しながら
読み聞かせする楽しみがあり、いつも結末に意外性があります。
引き合わせる二つが、最後のページに近づくにつれてスケールが大きくなっていき、
いっぱい想像して、考えを巡らせて、感じながら子どもと一緒に楽しみました(*^-^*)
詩的な文章と、奥行きのある絵の不思議な世界観に魅了されます。
《著者紹介》
文:斉藤倫
詩人。『どろぼうのどろぼん』で日本児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を
受賞。主な作品に『さいごのゆうれい』。絵本に『とうだい』(絵・小池アミイゴ/
以上、福音館書店)、『えのないえほん』(絵・植田真/講談社)。幼年童話に『あしたもオカピ』(絵・fancomi/偕成社)などがある。
文:うきまる
絵本作家。横浜生まれ。日本大学芸術学部デザイン科卒。2019年『はるとあき』(絵・吉田尚令)でデビュー。他に『レミーさんのひきだし』(絵・くらはしれい/以上、小学館)、『まちがいまちにようこそ』(絵・及川賢治/小峰書店)がある。いずれも斉藤倫との共作。
絵:くのまり
イラストレーター。名古屋学芸大学デザイン学科卒業。MJイラストレーションズ修了。
主に広告・書籍・グッズなどを手がけ、絵本製作は今作がはじめて。装画の仕事に『ライオンのおやつ』(作・小川糸/ポプラ社)『思い出の修理工場』(作・石井朋彦/
サンマーク出版)などがある。
※絵本より引用
【文:斉藤倫・うきまる 絵:くのまり 出版社:ブロンズ新社】